このコーナーでは、当事務所が寄稿した雑誌のご紹介をしています。ご興味がおありの場合は、是非ご一読いただければ幸いです。
このコーナーでは、当事務所が寄稿した雑誌のご紹介をしています。ご興味がおありの場合は、是非ご一読いただければ幸いです。
研究開発リーダー9月号で「労働基準監督署の臨検監督 〜働き方改革関連法の影響を踏まえて〜」と題して寄稿しました。以下、その前文になります。
1 はじめに
働き方改革が進行中です。このムーブメントのきっかけとして、大手広告代理店の過労死事件が挙げられるでしょう。2016年12月、この会社は労働基準法(以下、労基法)違反により書類送検されました。労働基準監督署(以下、労基署)の臨検監督(以下、臨検)について、社会的な認知が一気に高まった瞬間です。厚生労働省は、その後も労基署の体制を充実させ日々、臨検が実施されています。
人事におけるコンプライアンスとして、まずは労基法を遵守することが挙げられます。そして、労基法の番人として存在するのが、労働基準監督官(以下、監督官)です。会社からすれば、できればお世話になりたくない存在でしょう。しかし、ある日突然にこの活動はスタートします。臨検は、原則として予告なしに実施されるものです。臨検で法違反が明確になれば、是正勧告を受けることになるでしょう。他人事ではなく、自社の問題として労基署の臨検に備える必要があります。
本稿では、労基署の臨検を概説したうえで法改正のあった時間外労働の上限規制について焦点を絞ってレビューします。
月刊人事マネジメント6月5日号で「もう始まっている! 有給休暇取得「義務化」を乗り切る方法」と題して寄稿しました。以下、その前文の一部になります。
●まだ間に合います!
改正労働基準法が施行され2ヵ月余りが経過しましたが,これから対応を始めてもまだ間に合います。年次有給休暇について,1年間で5日の時季を指定すれば事足りるので,2019年4月から適用を受ける一番早いケースでも2020年3月までに実施できていればよいのです。また,経過措置もあります。時季指定義務は施行日である2019年4月1日以後,最初に年10日以上の年次有給休暇を付与する日から発生するのです。例えば,法改正後の最初の全社一斉付与日が2019年10月1日の会社では,2020年9月末日までに実施できていればよいことになります。
一方,中小企業では注意が必要です。働き方改革関連法には,中小企業の猶予措置が定められています。例えば,資本金が3億円以下または従業員が300人以下の製造業の会社であれば法律の適用が1年間猶予され,時間外労働の上限規制については,施行日が2020年4月1日となります。しかし,年次有給休暇の時季指定義務については,猶予措置がありません。
これから対応を検討する場合,まずは現状分析を実施する必要があるでしょう。例えば,過去3年間の年次有給休暇の取得実績を集計するのです。これは,1年間で5日の年次有給休暇さえ取得していないワーカホリックな従業員リストの作成を意味します。仕事熱心なのは結構なことですが,従業員自身の健康管理を省みず過重労働になるまで働かせてしまっては,会社の安全配慮義務に問題が出てきます。
本稿では,年次有給休暇の時季指定義務を確実に果たすための留意点について,焦点を絞ってレビューしていきます。
月刊人事マネジメント12月5日号で「副業・兼業の労務管理ポイント」と題して寄稿しました。以下、その前文の一部になります。
■はじめに
本年3月28日、働き方改革実現会議は「働き方改革実行計画」を策定・公表しました。「同一労働同一賃金の実効性の確保」や「時間外労働の上限規制の導入」など19の対応策が挙げられています。その中の一つに「副業・兼業の推進」があるのをご存知でしょうか。計画の中には、次のようなことが書かれています。
「合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化するとともに、長時間労働を招かないよう、労働者が自ら確認するためのツールの雛形や、企業が副業・兼業者の労働時間や健康をどのように管理すべきかを盛り込んだガイドラインを策定し、副業・兼業を認める方向でモデル就業規則を改定する。」さらに、「雇用保険及び社会保険の公平な制度の在り方、労働時間管理及び健康管理の在り方、労災保険給付の在り方について、検討を進める。」 |
働き方改革実現会議は、副業・兼業のしやすい社会を目指しています。現状では、副業・兼業を禁止する就業規則が多くの企業にあり、副業・兼業しないことを前提とした社会保険の環境も存在します。この部分を改革することで、働きやすい社会を実現するわけです。ただし、副業・兼業しやすくなった結果、長時間労働を助長し従業員の健康確保がないがしろになってしまっては本末転倒です。そのためにもガイドライン等を整備しながら、原則として認める方向で副業・兼業の普及促進を図ろうとしています。
来るべき副業・兼業社会に備えるため、法律、通達および裁判例など現在確認できる情報を整理し、できる限り根拠を明確にしながら対策の糸口とすることが本稿の目的です。
月刊人事マネジメント8月5日号で「人事コンプライアンス診断」について寄稿しました。以下、その前文の一部になります。
■今こそ必要な「人事コンプライアンス」
「法令順守」をコンプライアンスと表現するようになって、どのくらい経つのでしょうか。メディアでは、毎日のように企業のコンプライアンス問題が流れています。「ブラック企業」という名称も定着し、労働基準監督署の臨検が以前にも増して注目されています。
人事部門の関連するリスクといっても幅が広いでしょうが、まずは、労使関係を巡る訴訟や行政の是正勧告などが挙げられるでしょう。これらのリスクに対応するためには、事前の準備が必要です。そこで、人事部門に必要とされる準備の視点を「人事コンプライアンス」と定め、本文では最も重要だと考えられる「労働基準監督署の臨検」と「多様な従業員」の2点に着目して解説します。
以下、目次になります。
No.0 はじめに
No.1 多様な従業員の就業規則
No.2 労使協定と代表者の選出・母集団
No.3 多様な従業員の労働条件通知書
No.4 特別条項の時間設定と安全配慮義務
No.5 労働時間適正把握義務とサービス残業
No.6 割増賃金の算定基礎と中小企業の猶予措置
No.7 賃金台帳の記載事項と本社以外での保管義務
No.8 事業場外みなし労働の内勤時間と営業手当
No.9 名ばかり管理職と管理監督者の違い
No.10 雇止めと労働契約法の無期転換
雑 誌 名:『月刊人事マネジメント』 No.308
出 版 社:ビジネスパブリッシング
発 行 日:2016年8月5日
月刊人事マネジメント5月5日号で『労基署臨検対策』を寄稿しました。以下、その前文になります。
■労働基準監督官がくる前に
「コンプライアンス」を日本語として使うようになって随分時間が経過したように思います。様々な分野でコンプライアンスが問題となっており,この傾向は人事の世界も同様でしょう。長時間労働や賃金不払いなどの問題が多発するなか,「ブラック企業」という言葉も登場し社会問題になっています。
人事におけるコンプライアンスというと,まずは労働基準法の遵守が思い浮かびます。そして,労働基準法の番人として存在するのが,労働基準監督官です。企業経営からすると,できればお世話になりたくない相手でしょうが,労働基準監督官はある日突然やってきます。それが,臨検です。労働基準監督官の臨検で法違反が明確になれば,是正勧告を受けることになります。そんなことがないように日々の業務を整えておく必要があるでしょう。そのために,何をするべきなのか。まずは,現状を確認し準備をしておきましょう。
本文では,「臨検の依頼状」,「是正勧告書」,「指導票」および「是正報告書」の記入見本を掲載し,準備すべき書類とそのチェック項目などについて解説しています。このような資料を活用し,監督官がくる前にセルフ臨検の実施をお勧めします。
雑 誌 名:『月刊人事マネジメント』 No.293
出 版 社:ビジネスパブリッシング
発 行 日:2015年5月5日
人事労務実務のQ&A3月1日号で『女性が活躍する会社』の書評を寄稿しました。
この書籍は、リクルートワークス研究所の2人の研究者が「女性の活躍」をテーマに執筆したものです。このようなテーマにネガティブな印象を持っているビジネス・パーソンに読んで欲しい書籍です。「女性の活躍」を美化することなく、“あたりまえ”のことが書かれていますので、あらためて“あなたの働き方”を考えるきっかけになるかもしれません。
書評の全文がこちらからご覧いただけます。(雑誌の画像をクリックしてください。)
雑 誌 名:『人事労務実務のQ&A』 No.56
出 版 社:日本労務研究会
発 行 日:2015年3月1日
「6.3%」は、15〜24歳の完全失業率であり全体では「3.6%」になっていますので、若者の失業率は高いといってよいでしょう。この傾向は、諸外国も同様でありOECDのデータによると、15〜24歳の失業率は、日6.9%、独7.9%、加13.7%、米15.5%、英20.9%、仏23.9%、伊40.0%となっています。この中で、日本とドイツの失業率が低い理由を考察しています。特に、日本の場合は“新卒一括採用”にその理由があると述べています。
「人事労務の気になる数字」の連載も1年が経ち、今号はその最終回です。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1291
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2015年3月1日
労務事情2月1日号で、“ワーク・ライフ・バランス”について寄稿しました。
「9.0日」は、年次有給休暇の平均取得日数(2014年)のことです。また、平均取得率は48.8%ですので、積極的に取得されているとはいえないようです。一方、2007年に「ワーク・ライフ・バランス憲章」が策定されており、その後の行動指針では2020年までの数値目標として年次有給休暇取得率70%が掲げられています。
「年休を取り残す理由」や「ワーク・ライフ・バランス憲章」策定前後の年次有給休暇取得状況を概観し、「ワーク・ライフ・バランス」の定着について考えています。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1289
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2015年2月1日
労務事情1月1・15日合併号で、“個別労働紛争”について寄稿しました。
労働局の「あっせん」により解決された事件のうち72.8%が「40万円未満」の解決金額で終了しています。「あっせん」は、多くの場合1回で終了し、不参加を除けば6割以上で合意が成立していますので、企業にとって有効性の高い解決手段だと思われます。
一方、労働審判も“個別労働紛争”を解決する手段として重要な制度ですが、解決金額の平均値は約140万円になっています。2つの制度を対比して、労働局の「あっせん」の有効性について検討しています。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1288
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2015年1月15日
労務事情12月1日号で、“定年後再雇用”について寄稿しました。
「344,500人」は、「過去1年間の60歳定年企業における定年到達者」の人数です。このうち「継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人」は893人(0.3%)となっており、定年後再雇用が定着しつつある状況が窺えます。また、定年後再雇用の場合には、賃金水準の設定に苦心されている企業も多いと思いますが、「在職老齢年金」と「高年齢雇用継続給付」との関係についても考察しています。
今後、定年の延長を検討する必要性が高まってくるでしょうが、今すぐ実施する場合の課題についてもふれています。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1286
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2014年12月1日
果実日本12月号で、「果樹農家の雇用問題」について寄稿しました。
農業では、労働基準法の労働時間や割増賃金等の適用が除外されていますが、「労働条件通知書」の発行義務は免除されていません。この書類を発行していないことで、従業員との間で紛争化することがあるのです。例えば、「サービス残業問題」が挙げられます。
他の産業でも「労働条件通知書」を発行していない会社が散見されます。産業を問わず、従業員に就業条件を説明することは大切なことでしょう。また、「労働条件通知書」は、トラブルを未然に防いでくれるツールなのです。正社員に限らず働く人を雇う場合には必ず作成するよう心掛けたいものです。
雑 誌 名:『果実日本』 第69巻 2014年12月号
出 版 社:日本園芸農業協同組合連合会
発 行 日:2014年11月22日
労務事情11月1日号で、“限定正社員”について寄稿しました。
「1,211万人」は、「雇用契約期間の定めがある」労働者のことで、雇用者に占める割合では「22.6%」に達しており、およそ4人に1人が該当します。契約期間に定めがありながら、更新されているケースは多く、いわゆる“雇止め”が難しい状況もあります。一方、労働契約法の改正により、5年を超えて反復更新された雇用契約は、労働者の申出により無期転換することが定められました。
このような状況に至り、有期雇用労働者よりも始めから“限定正社員”として採用する有効性を検討しています。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1284
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2014年11月1日
労務事情10月1日号で、非正規労働者について寄稿しました。
「1,906万人」は、パートタイマー等の非正規労働者の人数であり、雇用者に占める割合では既に「36.6%」に達し、過去最高を記録しています。一方、改正労働契約法の施行により有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、非正規労働者の中から「無期転換社員」が登場することになります。この条文が発効する2018年4月までには、「無期転換社員」に適用する「第3の就業規則」を作成することが必要になってきます。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1282
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2014年10月1日
労務事情6月1日号で、賃金構造基本統計調査について寄稿しました。
タイトルの数字は、55の基幹統計の中で一つだけという意味です。賃金構造基本統計調査は、詳細な構造分析が可能な日本を代表する賃金統計です。まず、基幹統計の位置づけを説明し、次に賃金構造基本統計調査の概要を記述しています。
また、中堅の鉄鋼メーカーA社を事例として、賃金構造基本統計調査の使い方をご紹介しています。政府統計の総合窓口である「e-Stat」から、データをダウンロードする手順を具体的に示しており、自社の賃金分析を実施したい人事担当者にとっては参考になる内容となっています。
雑 誌 名:『労務事情』 No.1275
出 版 社:産労総合研究所
発 行 日:2014年6月1日
労務事情5月1日号で、家族手当の統計について寄稿しました。
タイトルの数字は、家族手当を支給した企業の割合のことであり、人事院が2013年4月現在の状況について公表した「職種別民間給与実態調査」の結果です。この他にも厚生労働省の「就労条件総合調査」や中央労働委員会の「賃金事情等総合調査」などについてもご紹介しています。
また、労働基準法37条には、時間外労働などを実施した場合の割増賃金について定められています。この計算について、算定基礎額から除外できる賃金項目である「カ・ツ・ベ・シ・リ・イチ」の法則についても記述しています。