定期昇給で上昇しない人件費

Q.定期昇給で人件費が上昇しないというのは本当ですか?

A.本当です。しかし、実際にはそうもいかないでしょう。

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 定期昇給は、よくエスカレーターに例えられます(左図)。
まず、20歳の新入社員が1階で上り方向のエスカレーターに乗ると考えます。次に、定年退職予定者は60歳になる時に、今まで長く乗ってきたエスカレーターを2階で降ります。このエスカレーターは40段で構成されており、各段には1歳刻みで20歳から59歳までの社員が1人ずつ乗っています。1階で1人乗ってくる(入社)度に、各段に乗っている社員が階段を1段(1歳)ずつ上り、最上段の社員が降りること(定年)を繰り返すと、エスカレーターに乗っている人数は常に40人であり変化しないことになります。

 このような人員構成の会社はほとんどないでしょうが、新卒定期採用と定年制度がこのエスカレーターのように運用されていれば、人件費はさほど変化しないことになります。ただし、早期退職や新卒採用の凍結などで、人員バランスが崩れていれば、このエスカレーターは機能しません。定期昇給の原資は、人員構成によって左右されるともいえます。結果として、人件費が上昇しないはずの定期昇給でありながら、実際には昇給原資で企業経営を悩ませることになっているのが現状かもしれません