労働時間・休日休暇

労働時間制度

年次有給休暇の時季指定義務

 

労働時間管理


 

休日休暇

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高度プロフェッショナル制度の年収要件とは

 
平均年収の3倍を上回る水準とされています
 

 改正労働基準法が定める「高度プロフェッショナル制度」を導入するためには、様々な要件があります。その中でも、年収要件が気になるところでしょう。年収については1,000万円を超える金額がイメージされていますが、法律に明記されているわけではありません。厚生労働省の「省令」で定められるため、引き下げの可能性が心配されるからです。

 改正労働基準法は、年収要件について「年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準」と定め、「毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎」とするとしています。毎月勤労統計調査(平成29年分確報)によると、毎月きまって支給する給与は「260,776円」となっていますので、これを年収に換算し3倍すると約940万円になります。つまり、毎月勤労統計調査の金額が下がるか、労働基準法が改正されない限り、年収要件が極端に下がることは考えにくいでしょう。

 仮に、年収1,000万円超が対象者であれば、さほど大きな問題にはならないと考えることもできます。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、年収1,000万円超の給与所得者は約4.5%(平成29年分)であり、その多くは役員および管理監督者として既に労働時間管理の適用除外者だと想像できるからです。

 なお、「高度プロフェッショナル制度」の対象者は、労働基準法の「労働時間、休日、深夜労働」の規定が適用除外されます。一方、管理監督者は、「深夜労働」の規定が適用除外されておらず、夜22時以降の労働に対しては、深夜勤務手当が必要になります。この点には注意をしておく必要があるでしょう

 

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フレックスタイム制のコアタイムを9:00〜18:00にしても大丈夫でしょうか

 
法律上の制限はありませんが、コアタイムが長すぎることには問題があるでしょう
 

 フレックスタイム制は、従業員各自に「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」労働時間の管理制度ですが、昨今、この制度を導入する企業も多く存在します。

 フレックスタイム制において、コアタイム(必ず勤務する時間帯)やフレキシブルタイム(出勤・退社の時間帯)を設けるか否かは自由です。仮に、休憩時間が1時間の会社でコアタイムを9:00〜18:00にすると、コアタイムだけで実働8時間になります。この場合は、おそらくコアタイム=1日の標準労働時間ということになるでしょう。これでは、始業・終業の時刻を従業員の自由意思にゆだねているとは言いにくいと思われます。法律上の制約があるわけではありませんが、少なくとも1時間位はフレキシブルタイムとして、従業員の自由意思で決定できないと、せっかくのフレックスタイム制の意味がなくなってしまうのではないでしょうか。

 ちなみに厚生労働省の通達では、「フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること。」とされています。(昭63.1.1基発1号)

 

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営業マンと研究開発者については、時間管理をしなくてもよいのでしょうか?

 
みなし労働時間制を適用する場合、労働時間の把握義務は免除されますが、それは、みなした時間について免除されるのであり、それ以外の労働時間については管理が必要です。
 

 厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平13.4.6基発339号)を発して、会社に労働時間の把握義務を負わせていますが、みなし労働時間制が適用される労働者を除いています。ただし、全ての労働時間について、把握義務を免除しているわけではありません。

 ここでは、営業マンと研究開発者について、分けて考える必要があります。

 まず、営業マンについては、事業場外みなし労働時間制を適用できる場合が多いと思いますが、この場合、みなすことができるのは、“事業場外”の労働についてですので、オフィス内の労働時間については把握する必要があります。また、休日や深夜勤務については、把握義務を免除されていませんので、別途、把握する必要があります。

 次に、研究開発者のように専門性が高い労働者に適用される専門業務型の裁量労働時間制の場合にも、休日や深夜勤務については、把握義務を免除されていませんので、別途、把握する必要があります。

 また、従業員の健康確保の観点からも、長時間労働にならないよう会社が配慮する必要がありますので、やはり労働時間等について適切に管理する必要があると思われます。

 

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営業マンには営業手当を支給しているで、残業代を支給していないのですが、最近、内勤業務が長くあるので、不満が出ています。どうしたらよいでしょうか?

 
事業場外労働のみなし労働時間制であっても、内勤部分は別にカウントしなければなりませんので、単に営業手当を支給すればよい、ということにはなりません。

 

就業規則5.png

→ 関連資料

労使協定で“みなし”ているのは、あくまでも事業場外労働の部分だけですので、このケースのように、事業場内労働(オフィス内勤務)がある場合には、事業場外労働のみなし時間と算定可能である事業場内労働の実労働時間を合算しなければなりません。その上で、時間外勤務の時間を算出し時間外手当を支給することになります(左図)。

 なお、事業場内労働(オフィス内勤務)の労働時間は、毎日変動することが通常であると考えられますので、残業相当額を月額手当として、金額を固定することには問題があります。

 いずれにしても、事業場外のみなし労働時間制を適用される従業員であっても、労働時間の把握および管理を実施しなければなりませんので、適正な労働時間の把握と適正な時間外手当の支給を徹底する必要があると思われます。

 

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「遅刻・早退の時間」と「残業時間」を相殺することは問題でしょうか

 
遅刻・早退と残業の時間を相殺することはできません。
 

 ご存知の通り、労働基準法37条は週40時間および1日8時間を超える労働をさせた場合には、原則として最低25%増の割増賃金を支払うよう定めています。もし、遅刻・早退の時間を1箇月分の残業時間と相殺すると、通常労働時間(100%)とそれよりも高い割増率(125%以上)の残業時間を相殺しますので、従業員にとってはマイナス25%以上となります。これは、従業員にとって不利益になりますし、当然のこととして違法になります。ただし、1日という単位の中での相殺は、結果として労働時間の繰上げ・繰下げと変わりませんので、法律上の問題とはならないでしょう。

 また、会社によっては遅刻・早退が3回あった場合に、欠勤1日分として賃金から控除することを就業規則に規定しているケースを見かけます。ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働かなかった分を控除することは何ら問題ありませんが、それを超えて控除する場合には、「減給の制裁(労基法91条)」に該当し、違法となる場合がありますので注意が必要です。

 

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休職と欠勤は、どのように異なりますか

 
休職は労働を免除する期間、欠勤は労働義務の不履行といえるでしょう
 

 多くの就業規則には、休職について記述されており、私傷病など一定の事由に該当した場合には、休職することができると思います。ただし、労働基準法などには休職に関する定めはなく、休職を制度として設けるか否かは会社の自由です。そのため、休職期間の長さや賃金の支払いについては、会社によって対応に差があります。

 一方、欠勤は労働契約で約束している労務の提供について履行できないことを指しますので、いわば契約違反となります。しかし、私傷病の場合など届け出ることで、会社が欠勤を認めるケースが少なくありません。例えば、交通事故などで長期療養が必要な場合、最初の1箇月間を欠勤として処理し、その後3箇月間を休職期間とするようなケースです。その際、欠勤も休職も会社を休むという点においては同じです。しかし、欠勤は労務提供の不履行をやむを得ず認められるのに対し、休職はルールとして就労が免除される点で異なります。私傷病などにおいては、欠勤は休職までの前置期間という位置付けがありますので欠勤期間は相対的に短く、休職期間の方が長めに設定されることが一般的でしょう。

 また、欠勤の場合はノーワーク・ノーペイの原則に従い賃金控除の対象となるのが基本だと思われますが、休職中の賃金については、会社によって様々です。そのため、就業規則などに賃金の有無についてきちんと記述しておくことが重要になるでしょう

 

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勤怠管理を簡便化するため、固定残業代にすることは問題でしょうか

 
違法ではありませんが、毎月精算する必要があるでしょう
 

 時間外労働に関する割増賃金について、例えば月20時間相当として月額固定の手当として支給するケースがあります。これ自体は、違法ではありません。

 固定残業代について判例では、「通常の賃金部分と時間外・深夜割増賃金部分が明確に区別でき、通常の賃金部分から計算した時間外・深夜割増賃金との過不足額が計算できるのであれば、その不足分を使用者は支払えば足りると解する余地がある。」(徳島南海タクシー事件 高松高裁判決平11.7.19、最高裁三小決定平11.12.14)とされています。つまり、時間外手当を月額で固定するためには、@月額固定額が何時間分に相当するかを事前に明確にすること、および、A実際にした残業時間と予定していた残業時間を月ごとに精算し、実際の残業時間が上回った場合には差額を支給すること、がその要件となるわけです。人件費を抑制するための施策として、固定残業代とすることには意味がないということになります。

 一方、日本ケミカル事件(最高裁一小判決30.7.19)では、採用条件確認書の記載や説明の内容等で根拠が明確であり、実際の勤務状況と大きくかい離しないのであれば違法にはならない旨の判断がされています。前出の判例の判断枠組みを緩和しているようにも見えますが、実務上は前記2要件を踏まえた方が無難と思われます。

 また、会社は労働時間を把握することが要請されており(平13.4.6基発339号)、時間外手当を月額で固定化したからといって、残業時間を管理する手間を省くことはできません。そして、2019年4月1日施行の改正安全衛生法では、法律として初めて労働時間の状況を把握する義務が定められましたので注意が必要です

 

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休日を振り替えて、ある週の休日を1日減らし翌週の出勤を1日増やしました。問題はあるでしょうか?

 
週をまたぐ振替には、時間外手当が必要となる場合があります。
 

 週40時間を超える労働をさせた場合には、時間外手当を支払わなければならないことは、誰でも知っていることですが、振替休日の取扱いについては、あまり知られていないのが実態です。

 休日を振り替える場合、その週内であれば問題になりませんが、例えば、1日の所定労働時間が8時間で週休2日制の会社の場合、休日を翌週に振り替えると振替元の週は32時間労働で、振替先の週は48時間労働となります。このケースでは、振替先の週における8時間分が40時間を超えているために、25%以上の割増賃金が必要となりますので注意が必要です。

 なお、1箇月単位の変形労働時間制を適用すると、この問題に対応することができますので、上記のような問題を抱えている企業は検討をされるとよいと思います。

 

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すべての従業員が時季指定義務の対象になるのでしょうか

 
原則として全員が対象となりますが、例外もあります
 

 会社は、年次有給休暇のうち年5日について時季を指定して取得させる義務を負っています。原則として、すべての従業員が対象になりますが例外的なケースもあります。

 例えば、短時間労働者には年次有給休暇の比例付与が定められており、1週間に働く日数に応じて比例的に付与されるのが基本です。時季指定義務は、年10日以上の年次有給休暇が付与される場合に発生しますので、年10日未満の年次有給休暇を付与される場合には対象外となります。一方、年次有給休暇の時効は2年であり、翌年度に繰り越すことができます。繰越分を含めると10日以上の年次有給休暇になるケースが出てきますが、労働基準法が定めているのは、1年で10日以上付与される場合ですので、繰越分の年次有給休暇を含めなくとも大丈夫です。

 また、育児休業取得者や休職者の場合なども気になるところでしょう。対象期間の全てについて休業・休職しているのであれば、付与できる日がないので時季指定しなくとも違法にはなりません。ただし、「残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではない。(平30・12・28基発1228第15号)」という通達が発出されていますので注意が必要です。年次有給休暇の時季指定義務については、シビアに考える必要がありそうです。

 

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年休の時季指定義務を果たせないと是正勧告になりますか

 
はい。残念ながらそうなるでしょう。
 

 働き方改革の一環として改正された労働基準法は、年次有給休暇の時季指定義務を定め、会社に新たな義務を課しました。年10日以上付与される従業員に対してそのうち5日について、会社は時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。加えて、年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保管する義務もあります。

 労働基準監督署の臨検(立入調査)があった場合には、さまざまな帳簿の提出を求められます。出勤簿や賃金台帳は、その代表的なものです。今後は、これらに加えて年次有給休暇管理簿の提出も求められるでしょう。年次有給休暇管理簿の作成は、法律上の義務ですので提出できなければ法違反を問われることになります。また、時季指定義務を果たせていない年次有給休暇管理簿を確認されれば、法違反は一目瞭然です。

 年次有給休暇の時季指定義務を果たさなかった場合、労働基準法第39条第7項違反になります。就業規則に年次有給休暇の時季指定の方法等を記載していなかった場合には、同法第89条違反となります。どちらに該当しても同法第120条1号により最終的には、「30万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。ただし、厚生労働省は「改正労働基準法に関するQ&A」の中で、「是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただく」としていますので、いきなり罰則が適用されることは少なく、まずは行政指導として改善を指導されると考えられます。

 

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年休の時季指定について、従業員の意見に従う必要がありますか

 
義務はありませんが、尊重する必要はあります
 

 2019年4月1日施行の改正労働基準法には、年次有給休暇の時季指定義務が定められました。会社は、年次有給休暇の時季を指定する際、従業員の意見を聴かなければなりません(労基則第24条の6第1項)。そして、その意向を尊重するよう努めなければなりません(同第2項)。つまり、従業員の意見を聴取することは法令上の義務ですが、従業員の意向通りに年次有給休暇の時季を指定する義務までは負っていないということです。もちろん、会社は調整する努力は必要でしょう。年次有給休暇の時季指定義務を果たすには、このプロセスが重要になります。

 ところで、年次有給休暇の意見聴取義務は、初めて設けられたものではありません。戦後間もない1947年に施行された労働基準法には既に存在していました。労基則第25条は、「使用者は、法第三十九条の規定による年次有給休暇について、継続一年間の期間満了後直ちに労働者が請求すべき時季を聴かなければならない」と定めています。当初の労働基準法は、会社が従業員の意向を聞いて計画的に年次有給休暇を付与していくことを念頭に置いていたのです。しかし、行き過ぎた労働者の保護は戦後の復興を妨げるというような経営側からの圧力もあり、1954年の省令改正でこの規定は削除されます。それから60年余り経過し、従業員の請求によって成立する年次有給休暇が、部分的に会社の指定義務に転換されることになったわけです。ある意味において、労働基準法が成立した当初の考え方に近づいたといってもよいでしょう。

(参考:濱口桂一郎「日本の労働法政策」)

 

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年次有給休暇の時季指定義務を果たすには、どうするべきでしょうか

 
年末調整方式は、いかがでしょうか
 

 2019年4月1日施行の改正労働基準法には、年休(年次有給休暇)の時季指定義務が定められています。会社は、年休の付与日数が10日以上の従業員に対し、5日について時季を指定して与えなければなりません。ただし、従業員が自ら5日を取得すればこの義務は発生しません。毎年のように5日以上、年休を取得している従業員には関係のない話かもしれませんが、仕事が大好きな従業員の中には、ほとんど年休を取得しない従業員もいるでしょう。従業員が取得したくないと言っても、会社は年休を取得させる義務がありますので、問題になることがあります。

 このような場合、年末調整方式は、いかがでしょうか。例えば、毎年4月に年休の一斉付与をしている会社の場合に、次の4段階を実施します。

(1)4月から12月までは従業員の自主性に委ね、自由に年休を取得してもらいます。

(2)12月31日時点で年休取得状況を確認し、取得日数が5日未満の従業員を抽出します。

(3)年が明けた1月初旬に、取得日数が5日未満の従業員へ年休取得日の希望を改めて聞きます。

(4)その上で、年休取得予定日を確定し、当日を出勤禁止とします。

 出勤禁止とするのは、少々やりすぎの感もありますが、ここまでしないと年休の時季指定義務を果たすことはできないかもしれません。特に、ワーカホリックな管理職の皆さんは、会社が労働基準法に違反しないよう、自ら率先して年休を取る必要があるでしょう

 

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時間単位の年次有給休暇で時季指定義務を果たせますか

 
半日単位はOKですが、時間単位は認められません
 

 もともとILO第52号条約(1936年)では、連続した年次有給休暇の取得が想定されていました。年次有給休暇は、休養をするために一定の期間まとまった日数を取得するものだと考えられたからです。この考え方は、日本の労働基準法にも共通しています。そのため、半日単位や時間単位の年次有給休暇については、例外的な取り扱いだと整理しておく必要があるでしょう。

 日本の年次有給休暇は、1日が基本単位です。しかし、半日単位の年次有給休暇は広く普及してきました。厚生労働省の通達 基発150号(昭63・3・14)は、「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」としながら、年次有給休暇の取得促進に資するのであれば、違法とする必要はないというのが従来からの立場です。

 2019年4月1日、働き方改革の一環として労働基準法が改正され、年次有給休暇の時季指定義務が法定されました。厚生労働省は、1日に満たない年次有給休暇について、次の通達を発出しています。「半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、〜年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことは差し支えない(基発1228第15号 平30・12・28)」 しかし、「時季指定を時間単位年休で行うことは認められない」とも書かれていますので、半日単位はOKですが時間単位で年次有給休暇の時季を指定することは困難だといってよいでしょ

 

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年次有給休暇の申請書に理由を書かせてもよいですか?

 
書かせることはよいとしても、理由による取得制限は問題です
 

 年次有給休暇の申請書に理由を書く欄があるのをよく見かけます。これ自体は問題ないと思います。ただし、理由によって承認をしない、ということになると問題です。最高裁判例(白石営林署事件 昭48.3.2)では、「年次休暇の成立要件として、労働者による『休暇の請求』や、これに対する使用者の『承認』の観念を容れる余地はないものといわなければならない。」とされていますので、会社の許可を得る必要がないことは明白です。このような場合、会社の保持する権限は「時季変更権」のみということになります。時季変更権とは、“事業”の正常な運営を妨げる場合に年次有給休暇の取得“時季”を変更させる権限です。これは、会社の“事業”であり、個人の業務や小さな組織レベルの話ではないため、時季変更権を行使できるのは余程の場合ということになります。結果として、時季変更権が行使されない限り年次有給休暇は自動的に成立することになります。ちなみに「時季」には意味があり、季節をまたいで変更することができるといわれています。

 そうすると、現場の上司は困ってしまう場合があるかもしれません。そのような時は、時季変更の“申込”をするとよいでしょう。申込・相談は自由ですから、上司が部下にお願いをすることになります。もちろん部下に拒否されればそれまでですが、“お互いさま”の部分もあるでしょう。法律で議論するのではなく運用面で支障がないようマネジメントすることになると思います。マネジメントとは、運用することなのかもしれませんね

 

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当社では年次有給休暇の計画的付与を実行しているのですが、退職する社員が退職時にまとめて年次有給休暇を請求してきました。この場合にはどうしたらよいのでしょうか?

 
退職する社員に対しては、退職日以降の計画的付与を実行できませんので、請求を認めてあげてください。
 

 年次有給休暇の計画的付与を実施している場合、従業員の時季指定権も会社の時季変更権も行使できず、お互いに変更の効かないシステムとなります。ここで問題になるのは、退職日以降に既に予定されている年次有給休暇の計画的付与日が変更できず、従業員はその分を捨てる他ないのか、という部分です。

 この点について通達は、 「計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提に行われるものであり、その前に退職することが予定されている者については、退職後を付与日とする計画的付与はできない。したがって、そのような場合には、計画的付与前の年休の請求を拒否できない。」(昭63.3.14基発150号)として、退職する従業員については、退職後の年次有給休暇の計画的付与の対象としないことを示しています。

 なお、このようなケースを想定して事前に労使協定に定めておくことが、スムーズな年次有給休暇の計画的付与の実施につながると思われます。

 

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半日単位で年次有給休暇を付与する場合、何時で分割すべきでしょうか

 
午前と午後、所定労働時間の半分、などを就業規則で明示すべきでしょう
 

 国際労働機関の1970年「年次有給休暇に関する条約」(第132号)では、「年次有給休暇の分割された部分の一は、少なくとも中断されない二労働週から成るものとする。」(*)と書かれています。そもそも年次有給休暇は、長期休暇を念頭に置いているのかもしれません。ちなみに、日本は未批准国です。

 今では法改正により時間単位の付与ができるようになりましたが、その前から半日単位の年次有給休暇は広く普及していました。これについて通達では、「年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」(昭63.3.14基発150号)とされています。法律には、半日単位の年次有給休暇に関する定めがありませんので、就業規則でどのように規定するかによります。

 ここで問題となるのは、1日をどこで分割するかです。通常の解釈では、半日とは暦日の半分ということになり、前半は0:00〜12:00、後半は12:00〜24:00ということになります。例えば、始業・終業時刻が、9:00〜18:00(実働8時間)の会社で考えると、前半が9:00〜12:00(実働3時間)、後半が13:00〜18:00(実働5時間)となります。前半と後半では2時間の格差があり従業員から不合理だと指摘される可能性も考えられます。

 一方、年次有給休暇の半日を所定労働時間の半分とすると、前半が9:00〜14:00(休憩を除き実働4時間)、後半が14:00〜18:00(実働4時間)となります。ちょうど所定労働時間の半分になりますが、休憩時間をとらずに9:00〜13:00(実働4時間)まで働くと所定労働時間の半分となるため、解釈に違いが出てきそうです。

 どのプランもすっきりした分割にはなりませんが、労使で検討した上で就業規則に明示する必要があるでしょう。

*出所:ILO駐日事務所ホームページ

http://www.ilo.org/tokyo/standards/list-of-conventions/WCMS_238104/lang--ja/index.htm

 

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社して1箇月の従業員でも育児休業を取得させる義務がありますか

 
労使協定を結ぶことで、対象者を制限することができます
 

 育児・介護に伴う休業や短時間勤務等について定めたものが育児・介護休業法です。会社は、従業員に育児休業等の取得を認めなければなりませんが、全ての従業員が必ず対象となるわけではありません。労働組合または従業員の代表者と会社が労使協定を結ぶことで、対象者を制限することが可能となります。

 労使協定を締結している場合には、@育児休業、A所定外労働の制限、B短時間勤務について、入社1年未満の従業員から申し出があったとしても会社は拒むことができます。なお、C子の看護休暇については、入社6か月未満の従業員からの申し出があった場合に拒むことができます。また、申出の日から1年以内(原則)に雇用関係が終了することが明らかな従業員から、育児休業に関する申し出があったとしても会社は拒むことができます。

 パートタイマー(1週間の所定労働日数が2日以下の従業員)の場合には、上記に加えて@育児休業、A所定外労働の制限、B短時間勤務、C子の看護休暇について、申し出があったとしても会社は拒むことができます。

 これらは、労使協定を締結することではじめて対象者が制限されるものです。労使協定の存在や従業員代表者の選出方法について問題となることがありますので、改めて重要性を認識する必要があるでしょう

 

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