賃金水準・構造分析

Point1 賃金水準・構造分析

 自社の賃金については、「同業他社と比較して高いのか、低いのか」または、「社員間の賃金格差が適性となっているか」など、なかなかよく分からないものではないでしょうか。そのような場合には、外部の専門家による客観的な意見が有用となります。

 次のような場合は、是非一度ご相談ください。

  • 自社の賃金水準の適性度合を知りたい
  • 社内の賃金バランスの状態を確かめたい
  • 賃金についてサーベイ・確認したことがない
  • 社内のパワーバランスに影響されない客観的なアドバイスが聞きたい

Point2 賃金水準・構造分析に関する具体的業務

 賃金の水準や構造を分析する場合には、下記のような図表を作成し分析することになります。企業様の状況によって大きく変化しますが、下記の業務が標準パターンであり、実施する必要のないものは割愛し、企業様の状況にフィットするように調整させていただきます。

  競合業界との水準比較(男性)

  【年齢階級別折線グラフ+等級別賃金プロット図】

  • 【競合業界/男性】との水準比較一覧表
  • 所定内給与 水準比較(統計+当社社員)
  • 年間賞与 水準比較(統計+当社社員)
  • 理論年収 水準比較(統計+当社社員)

  競合業界との水準比較(女性)

  【年齢階級別折線グラフ+等級別賃金プロット図】

  • 【競合業界/女性】との水準比較一覧表
  • 所定内給与 水準比較(統計+当社社員)
  • 年間賞与  水準比較(統計+当社社員)
  • 理論年収  水準比較(統計+当社社員)

  関連業界との水準比較(男性)

  【年齢階級別折線グラフ+等級別賃金プロット図】

  • 【関連業界/男性】との水準比較一覧表
  • 所定内給与 水準比較(統計+当社社員)
  • 年間賞与  水準比較(統計+当社社員)
  • 理論年収  水準比較(統計+当社社員)

  関連業界との水準比較(女性)

  【年齢階級別折線グラフ+等級別賃金プロット図】

  • 【関連業界/女性】との水準比較一覧表
  • 所定内給与 水準比較(統計+当社社員)
  • 年間賞与  水準比較(統計+当社社員)
  • 理論年収  水準比較(統計+当社社員)

  地域格差の比較

  【都道府県別/棒グラフ】

  • 都道府県(競合業界・関連業界】の格差比較一覧表
  • 所定内給与都道府県比較(競合業界/男性)
  • 所定内給与都道府県比較(関連業界/男性)
  • 所定内給与都道府県比較(競合業界/女性)
  • 所定内給与都道府県比較(関連業界/女性)

  地域格差の比較

  【都道府県別/初任給/棒グラフ】

  • 大卒初任給−都道府県比較 (競合業界)
  • 大卒初任給−都道府県比較 (関連業界)
  • 短大卒初任給−都道府県比較 (競合業界)
  • 短大卒初任給−都道府県比較 (関連業界)

  地域格差の比較

  【都道府県別/年齢階級別/折線グラフ】

  • 都道府県【競合業界・関連業界】の格差比較一覧表
  • 所定内給与都道府県比較(競合業界/男性)
  • 所定内給与都道府県比較(関連業界/男性)
  • 所定内給与都道府県比較(競合業界/女性)
  • 所定内給与都道府県比較(関連業界/女性)

  当社賃金構造分析

  【社員区分別/賃金プロット図】

  • 基本給プロット図(当社社員区分別)
  • 基本給プロット図(当社社員区分別)+近似曲線

  当社賃金構造分析

  【社員区分別/株価グラフ】

  • 当社社員区分別賃金レンジ一覧表
  • 基本給レンジ(社員区分別/実在者と理論値)
  • 所定内給与レンジ(社員区分別/実在者)
  • 年間賞与レンジ(社員区分別/実在者)
  • 理論年収レンジ(社員区分別/実在者)

  その他関連データ

 

  • 諸手当に関する世間動向
  • 当社の諸手当の状況一覧表
  • 賃上げ推移状況

 

Point3 報酬について

 賃金水準・構造分析に関する報酬ポリシーは、以下のように取り決めさせていただいております。なお、業務受託範囲に幅があるため、下記金額を目安に別途お見積をさせていただいております。

  • 賃金水準・構造分析         300,000円〜(税抜)

 

詳しくはお問い合わせください

賃金水準・構造分析について

 自社の賃金がどうなっているかは、結構分かりにくい事柄です。一言で賃金とはいっても、その構造自体なのか、水準なのか、基本給や手当などの体系なのか、様々な分野があります。このページでは、自社の賃金の水準や構造を分析する場合のポイントと背景を確認したいと思います。

 まずは、賃金レンジのお話しから始めましょう。賃金レンジをグラフ化すると、賃金全体の様子が分かってきますので、構造分析の第一歩としては有効な手法です。

賃金レンジの3タイプ

 賃金レンジとは、その名の通り、賃金の“はば”や“範囲”のことを指します。例えば、等級毎に賃金にどのような範囲が設定されているかを確認するわけです。基本給や理論年収などについて、そのTOP(一番上)とBOTTOM(一番下)の範囲をグラフ化します(左図)。それが、賃金レンジです。左の模式図には、重複型、連続型、格差型の3つの類型を示しましたが、それぞれの特徴は下記のようなものです。

重複型

グループ毎の間隔がなく、相互に重なっており、実際の賃金表でよくみられるタイプ。年功的になりやすい反面、一定のレベルまでは昇給させることができ、運用を重視するタイプ

連続型

グループ毎の間隔が、広がりも重なりもせず、上位グループの下限と下位グループの上限が一致するタイプ。等級の定義は容易だが、昇格時のモチベーションを確保しにくい。

格差型 グループ毎の間隔が、広がっていることで、昇格をした場合などに賃金が一気に上がる形態で、社員のモチベーションを鼓舞することに有効なタイプ。また、グループ毎の間隔が広がっているため、等級を定義づける場合は、その差が明確になりやすい

等級別基本給レンジ(理論値と実在者)

 左の図は、ダミーデータを使用して等級別の基本給レンジについてグラフ化したものです。縦軸が基本給の金額、横軸が等級の区分になっています。

 グラフのフィールド内に存在する「ブルーの長方形」が実在者、その裏側にある「赤い棒状の縦線」が理論値という位置付けです。理論値とは、賃金表に存在する最低から最高の賃金レンジを現していますので、もし、それ(赤い棒線)の範囲を超えて「ブルーの長方形」があるならば、異常値(間違い)ということになります。また、等級毎の「ブルーの長方形」が大きく重なり合っていると、賃金においては等級の違いが不明確だということになり、本来の等級区分の設定に問題がある可能性を示唆します。

 このようなグラフを作成することで、自社の賃金構造が一目瞭然になりますので、上記模式図の重複型、連続型、格差型の3つの類型を念頭に置きながら、御社の賃金レンジを確認してみてください。

理論年収 水準比較(賃金構造基本統計調査)

 左の図は、本物の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)を折線グラフにし、そこにダミーデータをプロット(1つひとつの点を置くこと)した複合グラフです。縦軸が理論年収の金額、横軸が年齢になっています。

 自社の賃金水準を比較したい時に頼りになるのが、賃金構造基本統計調査です。この統計は、日本政府が政策決定に使用するために指定する基幹統計であり、世界に誇る最高レベルのものです。産業別や学歴別などに折線グラフ化し、そこに社員一人ひとりの賃金をプロットすれば、このグラフ1つで水準比較が可能になります。

 余談ですが、左図の赤い折線グラフはホワイトカラー、青い折線グラフはブルーカラーのデータです。ブルーカラーと比較するとホワイトカラーの賃金の伸びが高いことが分かります。御社がメーカーであれば、このような職種別の水準比較も可能です。

地域別の水準確認(賃金構造基本統計調査)

 左の図は、上記同様、賃金構造基本統計調査を都道府県別に棒グラフにしたものです。全ての都道府県をグラフ化するとデータが大きくなってしまいますので6つに選抜しました。縦軸が所定内給与の金額について全国平均を100とした指数、横軸が都道府県になっています。

 全国展開をしている企業にとっては、地域別の賃金水準を確認することも必要になってきます。賃金構造基本統計調査は、都道府県別にも集計されていますので、ここでも頼りになります。

 また、初任給はどの企業でも新卒採用の際には公表しているのが通常であり、安心して使用できるものですので、都道府県別に大学卒および高校卒に分けて初任給の水準比較をするのもよいと思われます。

定昇エスカレーター(分析には理屈の理解も必要です)

 定期昇給には、お金がかからないことをご存知ですか?左の模式図は、定期昇給を表現しています。

 定期昇給は、よくエスカレーターに例えられます。まず、20歳の新入社員が1階で上り方向のエスカレーターに乗ると考えてください。次に、59歳の定年退職予定者は60歳になる時に、1階で乗ってきたエスカレーターを2階で降ります(定年)。これを各年齢層で繰り返すとエスカレーターに乗っている人数に変化はない(人件費は増えない)ことになります。

 このような人員構成の会社はほとんどないでしょうが、新卒定期採用と定年制度がこのエスカレーターのように運用されていれば、人件費はさほど変化しないことになります。ただし、早期退職制度の導入やリストラなどで、中高年の正社員の比率が低ければ、このエスカレーターは機能しません。

 結果として、人件費が上昇しないはずの定期昇給でありながら、実際には昇給原資で企業経営を悩ませることになっているのが現状ではないでしょうか。

年功賃金と定年制(分析には理屈の理解も必要です)

 左の図は、年功賃金と定年制を説明したグラフです。縦軸が賃金または会社への貢献という経済的価値、横軸が年齢になっています。年功賃金の理論的説明には諸説ありますが、労働経済学では「投資と回収」から説明し、定年制と合わさって定説になっています。

 ここでは、アメリカの労働経済学者「エドワード=ラジアー」の説明を若干アレンジしながら、各年齢ステージを“ABCD”に分割して記述します。

Aステージ  入社間もない社員は不馴れなため貢献(青)が低く、賃金(赤)の方が上回っている状態です。会社にとっては育成期間であり、いわば投資の状態です。
Bステージ

 仕事にも慣れた社員は一人前に成長し、貢献(青)が賃金(赤)を上回っている状態です。会社にとっては投資した分を回収する状態に入りました。

Cステージ

 加齢に伴い体力が少しずつ減退することで社員の貢献(青)の伸びが鈍化していますが、賃金(赤)の伸びはそれを上回っており、会社の持ち出し分が多くなっています。

 この状態のままでは、会社の負担が大きくなっていきますので、投資の面積(A+C)と回収の面積(B)がイコールになる定年(60歳)で雇用を終了する、つまり、貸し借りの清算が終了するのです。

Dステージ

 定年後の雇用状態ですが、定年の時に投資(賃金)と回収(貢献)の精算が済んでいますので、賃金(赤)が貢献(青)を上回っている状態では、会社は困ってしまいます。ですから、定年延長は難しく、一旦退職したという事実の後に賃金を減少させ、投資(賃金)と回収(貢献)をバランスさせた上で再雇用をする、という考え方になると思われます。

賃金体系

 左の図は、賃金体系図です。就業規則に載っているのをよく見かけます。どのような形態で支給するかは当事者の問題であるとして、法律では原則として規制していません。就業規則という契約で決まることになります。

 左図は非常に一般的なものだと思いますが、給与は、毎月定額で支給される「基準内賃金」と通勤に要する費用補填および時間外勤務の実績に応じて支給される「基準外賃金」で構成されています。

 基準内賃金は、基本給と手当で構成されていますが、本人の能力や仕事の成果が反映されるのが基本給であり、賃金制度の根幹を成すものと考えてよいのではないでしょうか。また、手当については統計調査もありますが、業態や企業によって千差万別なので、個別にみていかなければなりません。

報告書のイメージ

 賃金水準・構造分析は、左図のようなレポート形式でご報告いたします。なるべく分かりやすくするために、グラフや図をふんだんに取り入れ、人事の”見える化”を実施しています。

 また、諸手当についても、意味づけや定義、給与計算の観点などから詳細に分析させていただきます。

分析の流れ

 ここまで賃金分析のいくつかのサンプルと賃金構造の理論的背景をご紹介しましたが、自社の賃金を分析したくなりませんか?

 ご自分でも実施できる部分があるでしょうからトライしてみてください。もし、難しいと感じる部分があれば、ご相談です。まずは、資料をご準備いただき、受領後1週間程度で、その内容を把握させていただきます(左図)。次に、その理解を深めるために、人事部署のご担当者に対してヒアリングを実施させていただきます。

 ヒアリングから約3週間で、賃金水準・構造分析レポートを納品させていただくことになります。