就業規則

正社員以外の就業規則

手続きとルール

就業規則の効力

本社と事業場の就業規則


 

↓ 以下をご覧ください。

働契約法や高年齢者雇用安定法の改正は、就業規則にどのように影響するものでしょうか

 
雇用区分が概ね4系統になりますので、就業規則も4系統欲しくなります
法改正により変動する雇用MATRIX.png 

 従来は、“期間の定めのない労働契約”は正社員のためのもの、“期間の定めのある労働契約”は有期雇用社員のためのもの、という区分が一般的だったと思われます。しかし、労働契約法や高年齢者雇用安定法の改正によって、雇用区分の考え方は変化していくことになります。

 左図は、法改正による雇用区分の変動をあらわした模式図ですが、有期雇用社員が“期間の定めのない労働契約”へ転換し、正社員が“期間の定めのある労働契約”に転換することを表現しています。これらの転換は様々な人事制度に影響を及ぼすことになりますが、就業規則との関係では、次のように考えられます。

 有期雇用社員から転換した“無期転換社員”が正社員と同じ労務管理を受けるのであれば、正社員と同じ就業規則で問題はありません。同じく、正社員から転換した定年後再雇用社員が、有期雇用社員と同じ労務管理を受けるのであれば、これも一つの就業規則で対応可能でしょう。果たしてそれが可能かどうかは難しい問題だと思います。ここでベースとなる就業規則は1つかもしれませんが、それぞれに異なる経緯をもって労働契約のグループを形成することになりますので、それぞれに適用される独立した就業規則を作成することが、法改正により複雑になっていくだろう雇用区分に適切に対応できるのではないでしょうか。反対に見れば、期間の定めの”アリ・ナシ”という区分で就業規則を設けるだけでは、十分な機能を果たせない可能性があるわけです。また、期間の定めのアリ・ナシという大きな線引きが変動しますので、改めてそれぞれの雇用区分に対して会社が求める役割を就業規則で明確にする良いタイミングだと思われます。

 

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正社員以外の就業規則を作成する場合、気をつけることはありますか

 
正社員と比較して 「不合理な労働条件」 とならないように注意する必要があります
 

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し労働基準監督署へ届け出なければならないわけですが、就業規則を1つしか持たない企業は少ないのではないでしょうか。企業によって様々だとは思いますが、「パート就業規則」や「契約社員就業規則」などの名称の規則をよくみかけます。“いわゆる正社員”とは異なる働き方をする雇用グループですので、別の就業規則が必要になることは、たやすく想像することができます。

 正社員とは異なる働き方をするわけですから、就業規則も実態に合わせて異なった内容になるはずですが、この場合には労働契約法に注意する必要があります。労働契約法第20条は、雇用期間の定めのある従業員の労働条件について、いわゆる正社員と比較して、「責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」と定めています。 つまり、労働条件に格差を設ける場合には、合理的に説明のつく理由が必要になるわけです。

 例えば、転勤や人事異動の対象にならないことや、残業をする義務を負わないことは、人材育成の方法や勤務に関する内容が異なるわけですから、合理的な理由になり得ます。また、働き方に関係のない労働条件に格差を設けることは、不合理と見做される可能性があります。厚生労働省の通達では、「通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて労働条件を相違させることは、(中略)特段の理由がない限り合理的とは認められないと解される(基発0810第2号)」とされていますので、注意が必要です。

 

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パート社員専用の就業規則は必要でしょうか

 
正社員の就業規則を適用しないのであれば必要です。
 

 就業規則で一番重要なものは、「適用範囲」といっても過言ではないでしょう。適用範囲が明確になっていない就業規則は、正社員だけでなくパート社員を含む全ての従業員に適用される可能性があります。例えば、退職金規程がパート社員に適用されたら、困る会社がたくさんあることでしょう。労働条件を定めていれば、その他の規程も就業規則の一部となります。

 正社員の就業規則をパート社員にも適用するなら別々の就業規則は必要ありません。しかし、パート社員が正社員と完全に同じということは、あまりないのではないでしょうか。例えば、一つの賃金規程が両者に適用されることになれば、パート社員に対しても正社員と同じように諸手当を支給することになります。こう考えると、パート社員には正社員とは別の就業規則を設ける必要性が高そうです。

 また、労働契約法の定めにより無期転換したパート社員の問題もあります。「期間の定めのある者」に適用すると書いてあるパート就業規則をよく見かけます。パート社員専用の就業規則であっても、このような適用範囲を定めていると、無期転換したパート社員には適用できなくなりますので、部分的な改定が必要となるでしょう

 

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パート従業員には、専用の就業規則があるので、給与規程は作っていません。別途雇用契約書があるので、それで代用できないでしょうか?

 
賃金に関する内容が就業規則に含まれていないのであれば、給与規程が必要になります。個別の雇用契約書で給与規程の代わりとすることはできません。
 

 労働基準法でいう就業規則には、給与規程も含まれますので、パート従業員に関する給与部分の規定がないのであれば、就業規則の作成義務を果たしたことにはなりません。特に給与規程の場合には、正規従業員の賃金が非正規従業員に適用されると、大きな問題へ発展しかねませんので、パート従業員に適用する給与規程を作成することが必要です。

 この他にも、期間の定めがあるのであれば契約更新の際に雇用契約書は必要でしょうが、一般的に給与計算のルール等のような細かいことは雇用契約書に記載しないでしょうから、その点、実務的にもパート従業員の給与規程が必要になると思われます。 

 

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日雇アルバイトにも専用の就業規則が必要でしょうか?

 
適用すべき就業規則がないのであれば必要ですが、パートタイマー等の就業規則があるのであれば、その規程の適用範囲を変更するのがよいと思います。
 

 日雇アルバイト専用の就業規則がないからといって、直ちに正規従業員用の就業規則が適用になるとはいえないと思いますが、次のような裁判例もありますので、注意が必要です。

 「本工たる従業員に対する就業規則のみがあって、日雇に対する就業規則が制定されていない場合について、従業員就業規則を日雇いに準用すべきである」(日本ビクター事件 横浜地裁 昭41.5.27)

 例えば、正規従業員に対して時間外勤務手当の割増率について有利な規定があった場合、日雇アルバイトに適用する就業規則がなければ、日雇アルバイトであっても正規従業員に適用すべき有利な割増率で時間外勤務手当を計算するよう請求され、正規従業員用の就業規則が適用されることが考えられます。

 対応策としては、もし既にパートタイマー等の就業規則があるのであれば、日雇アルバイトを適用範囲に含め若干の修正を加えることで、非正規従業員の就業規則として改良型の就業規則を作成するのはいかがでしょうか。

 

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届出が必要な就業規則に、旅費規程は含まれるのでしょうか

 
”相対的必要記載事項”に該当し、届出る就業規則に含まれます。
 

 会社の設立当初であれば1つの就業規則で足りるかもしれませんが、組織が大きくなるに伴って別規程として細分化されるのは一般的なことでしょう。賃金規程がよい例だと思いますが、多くの会社に様々な就業規則体系が存在するのをみかけます。

 就業規則には、必ず定めなければならない“絶対的必要記載事項”と、定める場合には記載しなければならない“相対的必要記載事項”があります。旅費は“絶対的必要記載事項”として列挙されていませんので、ここで問題となるのは、旅費規程が“相対的必要記載事項”に当たるか否かです。

 労働基準法89条第10号は、“絶対的必要記載事項”のほか「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合」について、就業規則を作成し届出ることを求めています。これがいわゆる“相対的必要記載事項”のことです。旅費規程は、労働者のすべてに適用される日当の金額や交通費の支給基準を定めているのが通常でしょうから、“相対的必要記載事項”に該当することになります。

 なお、旅費に関する定めについて、通達(昭25.1.20基収3751号、平11.3.31基発168号)では次のように記述されています。「旅費に関する事項は、就業規則の強制的記載事項ではないから、就業規則中に旅費に関する定めをしなくても差支えないが、旅費に関する一般的規定をつくる場合には 〜就業規則の中に規定しなければならない」

 

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就業規則には、何を書けばよいのでしょうか?

 
就業規則には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項があります

 常時10人以上の従業員を使用する会社は、下記に関する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署へ届け出なければなりません(労基法89条)。これは、作成した場合だけでなく変更したときも同様です。下記@〜Bの項目は、絶対的必要記載事項とされ必ず就業規則に記載しなければならないものです。C〜Jの項目は相対的必要記載事項とされ、ルールを決めた場合には就業規則に記載することになります。

 なお、就業規則の作成・変更については、事業場ごとに過半数を代表する労働組合または従業員に意見を聴く必要があります。この従業員の代表者等が、会社からの一方的な指名などにより選任されていた場合には、実質的に過半数の従業員の信任を得ていないことになってしまうので注意が必要です

(絶対的必要記載事項)

@ 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
A 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
B 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

(相対的必要記載事項)

C 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
D 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
E 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
F 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
G 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
H 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
I 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
J 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

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労基署に届け出ていない就業規則は有効ですか

 
何らかの方法で労働者に周知されていれば、効力が発生します
 

 どこの会社でも、ときどき就業規則を改定することがあるでしょう。ご存知のように、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は、就業規則を改定する場合、事業場毎の過半数を代表する労働者の意見を聞かなければなりません。労働組合があればあまり問題にはなりませんが、そうでない場合には労働者代表の選出に注意をはらう必要があります。会社からの一方的な指名等ではなく、選挙等の民主的な手法によることが求められているのです。なお、労働者代表からの意見聴取をしていなくとも就業規則自体の効力に影響はありません。その場合には、意見聴取義務違反として労働基準法の罰則が適用されることになります。

 労働者代表の意見書の取得など準備が整えば、事業場を管轄する労働基準監督署長に「遅滞なく」届け出なければなりません。この「遅滞なく」とは、具体的な期限を指定しているわけではありませんが、なるべく早く届け出た方がよいでしょう。なお、労働基準監督署長に届け出が遅れたり、届け出ていなかったりしても就業規則自体の効力に影響はありません。その場合には、届出義務違反として労働基準法の罰則が適用されることになります。

 そうすると、就業規則の効力が発生するのは、どの時点なのか、という疑問に至ります。この点につき、最高裁は次のように述べています。「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである」(平15・10・10最高裁 フジ興産事件)

 以上のように、何らかの方法で労働者に周知されたときに、就業規則は効力を発生することになります

 

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就業規則は、個別に配布する必要がありますか?

 
労使協定を含め、いつでも従業員が閲覧できる方法を取る必要があります
 

 労働基準法第106条第1項には、「就業規則、〜協定〜を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。」と書かれています。

 従業員に周知ができていれば問題はないので、就業規則を印刷して個別に配布する義務を会社が負っているわけではありません。最近は、IT環境が整備され職場にパソコンが配備されているのが通常でしょう。社内のイントラネットの掲示板等に就業規則を掲載し、いつでも従業員が閲覧できる体制を取っているのであれば、この義務を果たしたことになります。

 ここで注意すべきは、就業規則だけではなく労使協定が含まれている点です。36協定をはじめとする各種労使協定は、就業規則と同様に周知する義務が会社にあります。イントラネット等に就業規則を掲載していても、労使協定を掲載していないことは、法律の義務を履行できていないことになります。労使協定の周知義務違反により、労働基準監督署の是正勧告を受けるケースもありますので注意が必要でしょう


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給与規定の場合、「規定と規程」どちらが正しいのでしょうか?

 
正しくは、「給与規程」とするべきでしょう
 

 就業規則には、いろいろな規程が付属するのが一般的でしょう。平成10年の労働基準法改正までは一部の規則に制限されていましたが、現在では委任規定を設けなくとも自由に別規則化することができるようになりました。規程の名称はさまざまですが、“○○規定”という名称の“規程”を見かけることがあります。この規定と規程の違いについて疑問を持つ方も多いようです。

 歴代の内閣法制局長官が執筆者として名を連ねる『法令用語辞典』*では、次のように書かれています。“規定”は、「1個の法令における個々の条項の定をいう」とされる一方、“規程” は、「一定の目的のために定められた一連の条項の総体を一団の定として呼ぶときに用いる」とされています。つまり、“規定”が指すのは細かな個別の条文であり、“規程”はより大きな条文がまとまったものを指しています。例えば、「第○条の規定」は個別の条文であり、「●●規程」は規則の名称として用いることになります。

 法律で使用方法が強制されているものではありませんが、できればこの用法に従い根拠を明確にする方が使いやすいのではないでしょうか。 

 *佐藤達夫編[1950]『法令用語辞典』学陽書房(初版)


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従業員代表者が反対意見を表明した場合、就業規則の効力はどうなりますか

 
意見を聞くことが重要であり同意までは求められませんので、効力に影響はありません
 

 会社が、就業規則を作成・変更する場合には、以下のような手続きをふむことになります。

@ 就業規則の作成
A 従業員の過半数を組織する労働組合または従業員の過半数を代表する者からの意見聴取
B 所轄労働基準監督署への届け出
C 従業員への周知

 ご質問はこの内、A「労働組合等の意見聴取」に関するものですが、ここで求められているのは、あくまでも“意見を聴く”ことであって、 “同意の取得”ではありません。例えば、労働組合や従業員代表者が就業規則の改定に反対なのであれば、反対意見を記述した意見書を就業規則に添付して労働基準監督署へ届け出れば受理されます。

 なお、労働組合や従業員代表者が意見書を提出しないことがあり得るかもしれません。その場合には、意見を聴いたことが分かる書類(依頼状やメールの控え等)を添付すれば、労働基準監督署は就業規則の届け出を受理することになっています。ちなみに、就業規則の受理について通達では次のように記述されています。「労働組合が故意に意見を表明しない場合 〜意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取扱われたい。」(昭23.10.30基発1575号)

 以上のように手続きに関しては問題ありません。しかし、反対意見がありながら就業規則を変更することは、望ましいことではないでしょう。やはり、時間をかけて丁寧な説明をすることが王道だと思われます。

 

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就業規則を不利益に変更することは難しいと聞きましたが、どうしたら不利益であっても変更することができるのでしょうか?

 
最終的には裁判所の判断になりますが、7つの項目を総合考慮することになります。
 

 労働契約法9条は「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」として原則禁止を定め、その例外を規定しました。この例外規定の基になっているのは、最高裁判所の判例であり、下記の7つの観点を総合考慮するとしています(第四銀行事件 最高裁 平9.2.28)。

@ 就業規則の変更により労働者が被る不利益の程度
A 使用者側の変更の必要性の内容・程度
B 変更後の就業規則の内容自体の相当性
C 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
D 労働組合等との交渉の経緯
E 他の労働組合又は従業員の対応
F 同種事項に関するわが国社会における一般的状況等

 以上のように、判例は就業規則の変更に対する業務上の必要性の程度と、その内容により従業員が受ける不利益の程度を比較衡量し、その変更内容に社会的相当性があるかを検討しています。また、過半数労働組合がある場合には、その賛成が重要な意味を持つことになります。

 

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給与規程の中で、その内容も金額も規定されていない手当があるのですが、どうしたらよいでしょうか?

 
手当は賃金の重要な内容です。給与規程に記載しないことは、就業規則の作成義務を果たしていないことになりますので、早急に給与規程の改定が必要です。
 

 労働基準法は、賃金に関するものを重要な事項と捉えており、必ず記載しなければならない項目として指定しています。もし、御社が給与規程に記載していない手当があるのであれば、就業規則への記載義務を果たしておらず、修正していない事実は労働基準法89条に違反することになります。そもそも、従業員へ説明することもできず、実務上、困ることになるでしょう。

 手当について支給基準が明確になっていないと、恣意的に運用されているとの批判も起こり得ますので、このことからも記載する必要があると思われます。就業規則に記載がないということは、その定義や支給金額についてのルールが不明確というだけでなく、従業員に対しての就業条件を明示していないということになりますので、なるべく早い対応が望まれます。 


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就業規則で役職手当は30,000円と規定されているのですが、今度入社する内定者が、20,000円でもよいというので、労働契約書で取り決めました。何か問題はあるのでしょうか?

 
ご本人が承諾しても労働契約書の内容は就業規則の基準まで自動的に引き上げられますので、役職手当は30,000円を支給しなければなりません。
 

 労働基準法93条は、「労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第十二条の定めるところによる。」としており、その労働契約法12条では、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と定めています。

 入社する際に、ご本人との条件交渉をすることは自由なのですが、就業規則の基準に達しない労働契約は、就業規則の基準まで引き上げられますので注意が必要です。なお、社内での不公平感という問題を別にすれば、就業規則の基準を上回る個別の労働契約は有効となります。

 一方、就業規則と労働契約は、法令や労働協約との関係において、原則として優先順位は下記の通りとなります。当然ですが法令が最も優先し、個別の労働契約は最も劣位に存在することになります。

【 労働基準法(法令) > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 】

 

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会社が合併すると、消滅会社の就業規則はどうなりますか?

 
消滅会社の就業規則は、引き継がれることになります
 

 合併には、吸収合併と新設合併がありますが、2つの企業、「A社」と「B社」の場合で想定してみましょう。吸収合併の場合、A社がB社を文字通り吸収するのであれば、吸収されたB社は消滅します。新設合併の場合には、新しい会社が設立され、従前から存在するA社とB社は両方とも消滅することになります。

 会社法750条1項は、「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。」とし、同754条1項は、「新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。」としています。つまり、吸収合併、新設合併いずれであっても、権利義務が承継されますので、就業規則は当然に引き継がれることになります。

 そうなると新会社では、旧A社と旧B社で異なる水準の就業規則が、並存する場合がでてきます。しかし、就業規則は事業場毎に作成されるので、事業場に変更がない限りは、そのままの状態で存続します。ただし、一つの会社で2つの水準の就業規則が、並存することは様々な問題を引き起こすことになるでしょう。そのため、A社とB社で合同の“合併に関する委員会等”が組織され、合併後に使用する統一された就業規則を準備することが一般的だと思われます

 

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本社で一括して就業規則変更届を提出することはできますか

 
要件を満たせば、本社で一括して届け出ることができます。
 

 労働基準法は、事業場を単位として適用されており、就業規則の届け出も事業場ごとに実施しなければなりません。ただし、下記要件を満たせば本社を管轄する労働基準監督署長に他の支店や工場等を含めて、本社が一括して就業規則変更届を提出することが認められています。これは、労働基準監督署間の回送システムだと考えれば分かりやすいでしょう。

 就業規則の本社一括届の要件として、以下5つのことが求められます。

@ 本社と各事業場の就業規則の内容が同一であること
A 本社を含む事業場の数に対応した必要部数を提出すること
B 各事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署長名を記載した事業場一覧表を添付すること
C 事業場一覧表に「本社の就業規則と同一内容である」旨、「変更前の就業規則の内容は本社の就業規則と同一内容である」旨を明記すること
D 労働者代表の意見書は、事業場ごとに作成し添付すること

 なお、各事業場の労働者の過半数が単一組織の労働組合に加入している場合であって、各事業場の過半数労働組合の意見が同意見である場合は、労働組合本部の意見書に「全事業場の過半数労働組合とも同意見である」旨を記載することで、「D事業場ごとの労働者代表の意見書」に代えて、労働組合本部の意見書の写しを添付することができます

 

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グループ経営強化のため、就業規則を統一することに問題はありますか?

 
“不利益変更”と“コストアップ”に注意が必要です
 

 複数の企業が一つのグループを形成し、機動的な人員配置や効率的な人事政策を実現するために、就業規則を統一するケースがあり得ます。複数の企業間の就業条件を統一するわけですから、合併に準じたスタンスが必要になるでしょう。ここで問題となるのは、“不利益変更”と“コストアップ”だと思われます。

 よくいわれるのは、就業規則の不利益変更の問題です。就業規則について労働契約法第9条は、労使の合意なく従業員の不利益に変更できない旨を定めています。そして、同第10条ではその例外を定めていますが、不利益変更は相当にハードルの高い問題です。反対に、従業員の利益になる変更であれば、もちろん労働契約法の問題はありませんが、コストアップの可能性がありますので、これも簡単な話ではありません。

 このような場合、賃金表を除いて統一する方向性が考えられます。“不利益変更”と“コストアップ”をクリアするための現実的な選択だろうと思われます。ただし、この場合であっても問題になることがあります。例えば、休職について子会社が親会社の水準に合わせた結果、体力の強くない子会社にとっては、重荷になってしまうことがあります。特に最近では、メンタルヘルス等で休職をする従業員が増えていますので、賃金表だけでなく休職等についても、よく吟味する必要があるでしょう。

 なお、グループ企業をあたかも一つの企業として一体運用した場合には、稀なケースではありますが“法人格否認の法理”といわれる考え方が適用される場合があります。例えば、親会社が子会社の人事政策の決定に過度に関与し、子会社の法人格が形骸化していた場合には、親会社が使用者に当たるとして、子会社の労働組合から労使交渉を挑まれるケースも考えられますので注意が必要です

 

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本社と少し離れたビルに営業所があります。就業規則は、別々に作成・届出するのでしょうか

 
別々に作成・届出るのが原則ですが、例外もあります
 

 就業規則は、一つの会社であっても本社や事業場毎に作成して届出る必要があります。これは、労働基準法が“事業”を単位として適用されるためです。ただし、一つの場所に所在していても別々の事業とした方がより適切に法律を運用できる場合や、事業の規模が著しく小さい場合には例外も認められています。

 これらの点について厚生労働省の通達(平11.3.31基発168号)では、「一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とする」と、まず原則を示しています。

 次に、その例外として「同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、〜主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とする」と記述し、「工場内の診療所、食堂」を例示しています。

 また、「場所的に分散しているものであっても、〜規模が著しく小さく、〜事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱う」として、「新聞社の通信部」を例示しています。

 御社の営業所がこの例外に該当し、事業場としての独立性がないのであれば、本社と一括して一つの事業場として扱われる可能性がありますので、“所轄の”労働基準監督署に確認するとよいでしょう

 

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本社と工場で同じ就業規則は問題ですか?

 
もし、年間所定労働時間が異なれば問題が出てきます。
 

 本社と工場の始業・終業時刻が異なることはよくあることでしょう。しかし、だからといって就業規則を2種類用意する会社はあまりないと思います。一つの会社に複数の就業規則が存在したのでは、労務管理が複雑になってしまいますし転勤があった都度、大変そうです。その場合には、一つの就業規則に全ての事業場に関する始業・終業時刻の一覧表を記載することで、共通の就業規則とするのが通常でしょう。ただし、事業場間で所定労働時間が異なる場合には、就業規則の一部である給与規程で問題が生じます。

 例えば、本社の所定労働時間が7時間、工場は7時間15分だったとします。両事業場で共通の給与規程(=賃金表)を使用した場合、基本給の金額が同じに見えても時間当たりの単価は異なります。そして、残業単価や欠勤時の日割計算をする場合の計算式も異なるものになります。このような場合には、出勤日数を調整し年間所定労働時間を合わせることで対応するのが通常でしょう。また、手当によって年間所定労働時間の格差を補う方法も考えられます。所定労働時間が異なる会社間を異動する出向の場合にはよくみられるケースです。

 上記のように各事業場で就労条件が異なる場合でも、なるべく一つの就業規則にまとめることが効率的な労務管理につながると思います

 

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