サービス残業の是正勧告への対応

Q.サービス残業の是正勧告には、どのように対応すべきでしょか?

A.適切に対応することです。「つじつま合わせ」をしてはなりません。

 是正勧告は行政指導であり、あくまでも任意の協力によって法違反の是正を実現させるもので、直ちに法的強制力のあるものではありません。ただし、その状態を放置するということは、検察庁への送致、起訴の対象となる可能性がありますので、適切な対応が必要となります。

 サービス残業について是正勧告を受けた場合には、実態調査を求められるのが通常です。社内調査を実施して適切に報告する必要があります。この時、言うまでもないことですが事実と異なる「つじつま合わせ」をしてはなりません。この対応を誤ると悪質と判断され書類送検につながる可能性を生んでしまいます。

 社内調査の結果、サービス残業が存在すれば遡って支払う期間の問題が出てきます。是正勧告書に期間が指定されていたら、その指示に従ってください。もし、訴求期間について言及がなかった時は、「どの程度、遡るべきか」と聞かない方が賢明です。そもそもサービス残業の支払問題は、会社と社員の間の民事上の問題であり、労働基準監督官にその支払いを強制することはできないのです。会社が確認できた範囲で支払うことになるでしょう。

 なお、労働基準法が改正(2020年4月1日施行)され、賃金の時効が2年から5年になりました。ただし、当分の間、3年とされています。今まで以上に会社にとっては大きな問題になりえますので、サービス残業が発生しないよう、適切な労働時間管理が求められています。