本社と工場の就業規則
A.もし、年間所定労働時間が異なれば問題が出てきます。
本社と工場の始業・終業時刻が異なることはよくあることでしょう。しかし、だからといって就業規則を2種類用意する会社はあまりないと思います。一つの会社に複数の就業規則が存在したのでは、労務管理が複雑になってしまいますし転勤があった都度、大変そうです。その場合には、一つの就業規則に全ての事業場に関する始業・終業時刻の一覧表を記載することで、共通の就業規則とするのが通常でしょう。ただし、事業場間で所定労働時間が異なる場合には、就業規則の一部である給与規程で問題が生じます。
例えば、本社の所定労働時間が7時間、工場は7時間15分だったとします。両事業場で共通の給与規程(=賃金表)を使用した場合、基本給の金額が同じに見えても時間当たりの単価は異なります。そして、残業単価や欠勤時の日割計算をする場合の計算式も異なるものになります。このような場合には、出勤日数を調整し年間所定労働時間を合わせることで対応するのが通常でしょう。また、手当によって年間所定労働時間の格差を補う方法も考えられます。所定労働時間が異なる会社間を異動する出向の場合にはよくみられるケースです。
上記のように各事業場で就労条件が異なる場合でも、なるべく一つの就業規則にまとめることが効率的な労務管理につながると思います。