届出のない就業規則

Q.労基署に届け出ていない就業規則は有効ですか?

A.何らかの方法で労働者に周知されていれば、効力が発生します

 どこの会社でも、ときどき就業規則を改定することがあるでしょう。ご存知のように、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は、就業規則を改定する場合、事業場毎の過半数を代表する労働者の意見を聞かなければなりません。労働組合があればあまり問題にはなりませんが、そうでない場合には労働者代表の選出に注意をはらう必要があります。会社からの一方的な指名等ではなく、選挙等の民主的な手法によることが求められているのです。なお、労働者代表からの意見聴取をしていなくとも就業規則自体の効力に影響はありません。その場合には、意見聴取義務違反として労働基準法の罰則が適用されることになります。

 労働者代表の意見書の取得など準備が整えば、事業場を管轄する労働基準監督署長に「遅滞なく」届け出なければなりません。この「遅滞なく」とは、具体的な期限を指定しているわけではありませんが、なるべく早く届け出た方がよいでしょう。なお、労働基準監督署長に届け出が遅れたり、届け出ていなかったりしても就業規則自体の効力に影響はありません。その場合には、届出義務違反として労働基準法の罰則が適用されることになります。

 そうすると、就業規則の効力が発生するのは、どの時点なのか、という疑問に至ります。この点につき、最高裁は次のように述べています。「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである」(平15・10・10最高裁 フジ興産事件)

 以上のように、何らかの方法で労働者に周知されたときに、就業規則は効力を発生することになります