就業規則の効力順位

Q.「家族手当が、就業規則は2万円、労働契約は1万円」の場合、どちらが有効になりますか?

A.就業規則が優先して効力を発揮します。

 労働契約法第12条には、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による」とあります。このケースでは、1万円と定めた労働契約は無効になり、就業規則で定める2万円の家族手当が支給されなければなりません。つまり、就業規則の効力は労働契約に優先するわけです。

 この件と労働基準法第92条を合わせると次の構図が浮かび上がります。最も効力が強いのは、当然のことながら法令であり、次に優先されるのが労働協約、その次が就業規則であり、この中で最下位に位置するのが労働契約になります。

【 法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 】

  一方、労働契約法第7条は、「労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない」と例外を規定しています。設問の例を反対にして考えると、「家族手当が、就業規則は1万円、労働契約は2万円」の場合には、就業規則ではなく労働契約の内容である2万円の家族手当が支給されなければなりません。つまり、個別に有利な合意があった場合には、労働契約が就業規則に優先することがあるわけです。