半日単位の年次有給休暇

Q.半日単位で年次有給休暇を付与する場合、何時で分割すべきでしょうか?

A.午前と午後、所定労働時間の半分、などを就業規則で明示すべきでしょう。

 国際労働機関の1970年「年次有給休暇に関する条約」(第132号)では、「年次有給休暇の分割された部分の一は、少なくとも中断されない二労働週から成るものとする。」(*)と書かれています。そもそも年次有給休暇は、長期休暇を念頭に置いているのかもしれません。ちなみに、日本は未批准国です。

 今では法改正により時間単位の付与ができるようになりましたが、その前から半日単位の年次有給休暇は広く普及していました。これについて通達では、「年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」(昭63.3.14基発150号)とされています。法律には、半日単位の年次有給休暇に関する定めがありませんので、就業規則でどのように規定するかによります。

 ここで問題となるのは、1日をどこで分割するかです。通常の解釈では、半日とは暦日の半分ということになり、前半は0:00〜12:00、後半は12:00〜24:00ということになります。例えば、始業・終業時刻が、9:00〜18:00(実働8時間)の会社で考えると、前半が9:00〜12:00(実働3時間)、後半が13:00〜18:00(実働5時間)となります。前半と後半では2時間の格差があり従業員から不合理だと指摘される可能性も考えられます。

 一方、年次有給休暇の半日を所定労働時間の半分とすると、前半が9:00〜14:00(休憩を除き実働4時間)、後半が14:00〜18:00(実働4時間)となります。ちょうど所定労働時間の半分になりますが、休憩時間をとらずに9:00〜13:00(実働4時間)まで働くと所定労働時間の半分となるため、解釈に違いが出てきそうです。

 どのプランもすっきりした分割にはなりませんが、労使で検討した上で就業規則に明示する必要があるでしょう。

*出所:ILO駐日事務所ホームページ

http://www.ilo.org/tokyo/standards/list-of-conventions/WCMS_238104/lang--ja/index.htm