遅刻・早退の控除と減給の制裁

Q.「遅刻・早退の時間」と「残業時間」を相殺することは問題でしょうか?

A.遅刻・早退と残業の時間を相殺することはできません。

 ご存知の通り、労働基準法37条は週40時間および1日8時間を超える労働をさせた場合には、原則として最低25%増の割増賃金を支払うよう定めています。もし、遅刻・早退の時間を1箇月分の残業時間と相殺すると、通常労働時間(100%)とそれよりも高い割増率(125%以上)の残業時間を相殺しますので、従業員にとってはマイナス25%以上となります。これは、従業員にとって不利益になりますし、当然のこととして違法になります。ただし、1日という単位の中での相殺は、法定労働時間である8時間を超えたところから割増賃金が発生しますので、法律上の問題とはならないでしょう。

 また、会社によっては遅刻・早退が3回あった場合に、欠勤1日分として賃金から控除することを就業規則に規定しているケースを見かけます。ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、働かなかった分を控除することは何ら問題ありませんが、それを超えて控除する場合には、「減給の制裁(労基法91条)」に該当し、違法となる場合がありますので注意が必要です。