年次有給休暇の計画的付与と退職する社員

Q.当社では年次有給休暇の計画的付与を実行しているのですが、退職する社員が退職時にまとめて年次有給休暇を請求してきました。この場合にはどうしたらよいのでしょうか?

A.退職する社員に対しては、退職日以降の計画的付与を実行できませんので、請求を認めてあげてください。

 年次有給休暇の計画的付与を実施している場合、従業員の時季指定権も会社の時季変更権も行使できず、お互いに変更の効かないシステムとなります。ここで問題になるのは、退職日以降に既に予定されている年次有給休暇の計画的付与日が変更できず、従業員はその分を捨てる他ないのか、という部分です。

 この点について通達は、 「計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提に行われるものであり、その前に退職することが予定されている者については、退職後を付与日とする計画的付与はできない。したがって、そのような場合には、計画的付与前の年休の請求を拒否できない。」(昭63.3.14基発150号)として、退職する従業員については、退職後の年次有給休暇の計画的付与の対象としないことを示しています。

 なお、このようなケースを想定して事前に労使協定に定めておくことが、スムーズな年次有給休暇の計画的付与の実施につながると思われます。