事業場外みなし労働とは

Q.事業場外労働のみなし労働時間制とは?

A.「外」かつ「把握困難」な場合に採用できる手法です。

 労働時間を把握するには、タイムカード等の客観的な記録方法をとるの原則ですが、直行直帰のように出社しない場合にはそれが困難です。この原則に対して例外的に考えられたのが、事業場外労働のみなし労働時間制といえるでしょう。

 労働基準法第38条の2には、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いとき」と記述されています。ここでいう「事業場外」が第1要件、「労働時間を算定し難いとき」が第2要件と考えられます。事業場外つまり会社の外であることは当然ですが、労働時間の算定の可否が問題となります。

 この件に関する厚生労働省の通達には、“ポケットベル”の出てくるものがあります。現代の若者には、ポケットベルについて説明をしなければ理解できないでしょう。それだけ時代が変化したということです。現在では、GPS(全地球測位システム)機能を備えたスマートフォンが普及しています。いつ、どこにいるかを客観的に把握することが可能です。事業場外労働のみなし労働時間制が法定された時代と比較して、「労働時間を算定し難いとき」は限られたケースになってきたと考えられます。労働基準監督署の臨検では、「労働時間を算定し難いとき」について説明を求められる場合がよくあります。結果として、行政指導を受けることもありますので注意が必要でしょう