解雇の事由と就業規則

Q.就業規則には、解雇に関する全ての事由が必要ですか?

A.事由について、懲戒解雇は限定列挙、普通解雇は例示列挙といわれています。

 就業規則には、解雇の事由が記載してあります。この事由に該当した場合に、解雇が実施されることになります。仮に、事由が明らかでない状態で解雇されることになれば大問題です。

 就業規則の解雇の事由は、限定列挙と例示列挙、どちらなのかという論争があります。懲戒解雇の場合には、罪刑法定主義の考え方から就業規則に限定列挙されていなければならないが、普通解雇の場合にはそこまで求められず例示列挙が許される、というのが通説と言ってよいでしょう。

 ここでいう限定列挙とは、就業規則に記載されている事由に限って、解雇ができるという意味です。一方、例示列挙とは、就業規則に記載されている事由は、あくまでも例示であるので、完全に一致する事由が記載されていなくとも解雇ができる、という意味になります。ただし、就業規則の解雇事由には、「前各号に準ずる止むを得ない理由があるとき」といった条項を設けているのが一般的ですので、実質的にはあまり問題にならないようです。いずれにしても、解雇の事由について適性に記載することが法律上のリスクを軽減することになります。