減給の制裁 

Q.懲戒としての減給は、いくらまで可能ですか?

A.1回当たり0.5日分、複数回の合計で賃金の10%が上限です。

 労働基準法91条は、「減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10の1を超えてはならない」と減給の上限を定めています。例えば、何らかの懲戒事項が1回あった場合について0.5日分(月給30万円なら約5,000円)を上限とし、同様の懲戒事項が複数回あった場合には、合計10%(月給30万円なら3万円)を上限として、賃金を減額することが可能になります。なお、合計10%を超える場合には、翌月の賃金に持ち越して減給することは可能です(厚生労働省労働基準局編『労働基準法下巻労働法コンメンタール3』)。

 また、賞与で減給することも可能ですが、賞与も賃金の一部なのでこの条文が適用されます。そのため懲戒による制裁として減額できるのは、前述の例でいえば1回当たり0.5日分(約5,000円)、懲戒事項が複数回あった場合でも賞与の10%が上限となります。賞与の支給額に比べれば、あまり大きな感じはしないかもしれません。一方、懲戒されるほどの問題を起こしているのであれば、個人の評価が低いことは当然に予想されます。人事制度である評価の運用の結果として、賞与の支給額が低くなることは、減給の制裁には該当しないことになります