試用期間と解雇

Q.試用期間であれば、解雇は問題ないのでしょうか?

A.不可能ではありませんが、正当な理由が必要になるでしょう。

 試用期間には、2つの意味があると思います。労働基準法と就業規則が定めるものです。

 労働基準法は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前にその予告をしなければならないと定めています。これは、解雇を禁止しているわけではなく、予告という手続きの遵守を求めるものです。ただし、試の使用期間中の者(14日以内)であれば、その手続きを取らなくともよい例外が記載されています(労基法第21条)。ここは、手続規制の問題です。解雇には正当な理由が求められます。

 就業規則で試用期間を定めることは会社の自由です。試用期間を3箇月と定めれば4箇月目に本採用になるでしょう。この時、本採用しないのであれば、試用期間満了をもって解雇することになります。既に14日を超えていますので当然に解雇予告が必要な状態です。ここでも、解雇には正当な理由が求められます。

 一方、労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。この規定も解雇を禁止しているわけではありませんが、解雇予告や試用期間の有無とは別に、解雇には正当な理由が求められていることがわかります。

 どのような場合であっても、解雇を行う場合には正当な理由が求められます。他の長期勤続の労働者を解雇することに比べれば、解雇予告の不要な14日間や試用期間満了による場合は、解雇の事由に求められる客観性・合理性の程度が緩和されることになるかもしれません。しかし、具体的には裁判で個別に判断されることになりますので、解雇を前提にした対応策をとることには注意が必要です。