雇用契約と請負契約の違い

Q.「雇用契約」と「請負契約」はどのように違うのでしょうか?

A.雇用契約には指揮命令関係があり、請負契約にはありません。

 雇用契約について民法623条は「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」と定めています。つまり、従業員は労働に従事することを、会社はその対価を支払うことを約束しています。

 一方、請負契約について民法632条は「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と定めています。つまり、受諾者は仕事の完成を、会社はその対価を支払うことを約束しています。なお、民法では請負と呼んでいますが、業務委託契約と同じものと考えてよいでしょう。

 ここでは、「労働に従事すること」と「仕事を完成すること」が異なっているわけですが、 前者は会社の指揮命令下に入り労務に服しますが、後者は独立して仕事を為し達成の責任を伴って会社に提供することで、基本的に仕事をする場所、遂行の方法について指揮命令されることはありません。もし、請負契約でありながら、会社が受諾者に対して、指揮命令をしていたとなると、これは偽装請負になりますので、明確に区別しなければなりません。