身元保証の限度額 

Q.身元保証人には、どこまで保証を求めることができますか?

A.具体的な基準は存在しないため、最終的には裁判所の判断になります。

 従業員が入社する際、「身元保証書」の提出を求める企業があります。これについては「身元保証に関する法律」に規定されています。保証する期間は最高5年が限度で、5年を超える定めをしたとしても5年とみなされます。ただし、更新は認められます。また、人事異動などによりその従業員の仕事内容が変わった場合など、会社は保証人に対して通知をしなければならず、これを怠ると身元保証の効力が無効になる可能性があります。

 具体的に、どこまで保証を求めることができるかは難しい問題ですが、同法5条では、「裁判所ハ身元保証人ノ損害賠償ノ責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監督ニ関スル使用者ノ過失ノ有無、身元保証人ガ身元保証ヲ為スニ至リタル事由及之ヲ為スニ当リ用ヰタル注意ノ程度、被用者ノ任務又ハ身上ノ変化其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌ス」と定めていますので、裁判所が会社の過失の有無や身元保証の経緯などから総合判断することになります。

 一方、2020年4月1日に施行された改正民法は、「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」と規定しています(第465条の2第2項)。「身元保証書」の目的が、社会人としての自覚を促し責任感を持たせることのみであれば問題ありませんが、将来的な損害賠償まで見込む場合には、その限度額を定める必要があります。