派遣社員と契約社員の違い

Q.当社には派遣社員がいますが、契約社員との違いについて教えてください。

A.契約社員とは雇用関係があります。派遣社員とは雇用関係はなく、指揮命令権を行使するのみです。

 従業員の雇用区分には、契約社員、嘱託、アルバイト、パートなど様々なものがありますが、直接の雇用関係がある点では、さほど違いはありません。いわゆる正社員が、期間の定めのない労働契約であるのに対して、どの雇用区分も契約期間が定められている労働契約だということが一般的でしょう。

 しかし、派遣社員は異なります。労働者派遣法では、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」(派遣法2条1項1号)と、労働者派遣を定義しています。

 つまり、派遣社員は派遣元企業と労働契約を結び、派遣先企業へ派遣されますが、派遣先企業との間には労働契約が存在しませんので、雇用関係はありません。そこに存在するのは、派遣先企業から指揮命令を受けて労働に従事する、ことのみです。

 やや複雑ですが派遣社員の場合には、雇用関係と使用関係が分離されていますので、労働基準法でいう派遣社員の使用者は誰なのか、という疑問が出てきます。ここで分かりにくいのは、案件に応じて使用者が変化する点です。労働契約を結んでいるのは派遣元企業ですので、使用者となるのは原則として派遣元企業になりますが、通常、仕事をしている場所も仕事の指示も派遣先企業ですから、一律にはいきません。

 労働者派遣法44条では、労働基準法の適用に関する特例として、労働時間に関する事項などは、派遣先企業が使用者としての責任を持つことを定めています。ですので、派遣労働者に仕事をしてもらうのであれば、派遣元企業に全てをまかせるのではなく、派遣先企業としての責任を認識する必要があることになります。