コンピテンシー評価と能力評価の違い

Q.コンピテンシー評価と能力評価は異なるものなのでしょうか?

A.相違点はありますが、どちらも能力を評価することに違いはないと思います。

→ 関連資料

能力評価は過去のものだが、コンピテンシー評価は新しい概念であり今の時代にフィットしている、などという話を聞くことがありますが、本当でしょうか?

 コンピテンシーの考え方はアメリカで生まれたもので、1970年代には、ホワイトによって既に提唱されています。その後、マクレランド、スペンサーなどの人物が登場し、コンピテンシー理論を発展させてきたと言われています。コンピテンシーをコンピテンスという人もいますし、発音のアクセントの置き方も人によって違うようですが、和訳すると“能力”になります。

 一方、能力評価は、能力に関する評価基準を作成し運用することで、定性的な評価対象でありながら、納得感を持たせようとしたものです。しかし、能力評価は可視的で把握しやすいものに限られてしまい、能力の源泉部分を評価することが困難でした。

 コンピテンシー理論を発展させたマクレランドの氷山モデル(左図)によると、目に見えている氷山の部分だけでなく、海中に沈んでいて見ることができない要素であっても、コンピテンシーを用いることで、把握することが可能だそうです。

 能力評価が、潜在能力ではなく観察可能な顕在化した能力(知識・技術)を重視することに対して、コンピテンシー評価は、海面下にあって見えないはずの“動機や特性”にもスポットを当て、可視的な行動特性として捉える点が相違点といえそうです。

 コンピテンシー評価が万能だという考え方には反対ですが、目で確認することができる行動特性に注目したことは、能力評価を一歩進めた、優れた点のように感じます。