退職金の統計

Q.自社の退職金水準をチェックするには、どのような統計があるのでしょうか?

A.中央労働委員会の賃金事情等総合調査や東京都の中小企業賃金・退職金事情が代表的なものです。

 賃金に関する統計は、賃金構造基本統計調査等、優れた統計がたくさんありますが、退職金に関するものとなるとやや難しくなります。

 退職金は勤続期間と退職時の賃金が強く影響しており、個人の退職するタイミングによって支給額は大きく変動します。また、一時金を年金化することもありますので、個人差の大きい退職金の平均値を算出したとしても、他の賃金統計のような精緻な分析は難しいということです。そして、退職金は退職しなければ支給されないので、月例給与のようなサンプル数を確保することは困難です。

 そこで、退職金については、モデル退職金として統計をとるケースがあります。退職した実在者ではなく、モデル賃金と退職金支給率を組み合わせて、モデル退職金を作成するわけです。

 中央労働委員会による「賃金事情等総合調査」および東京都による「中小企業賃金・退職金事情」は、退職金の統計としては信頼性が高いものですが、以上のような経緯からあくまでも参考データとして捉える必要があります。