等級と賃金の分析手法

Q.賃金レンジとは何ですか?

A.賃金の幅であり、等級毎に比較すると課題が見えてきます。

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 賃金を分析する場合、統計などを用いて水準比較のグラフを作成するのが王道でしょう。それだけでなく、賃金構造を分析する時に便利なのが等級毎の賃金レンジです。等級相互の位置関係を把握することができますし、名ばかり管理職の確認にも使用できます。

 賃金レンジとは、文字通り賃金の範囲のことを指します。まず、等級区分毎に基本給、所定内給与、年間賞与、理論年収について、そのTOP(一番上)とBOTTOM(一番下)に位置する実在者賃金の一覧表を作成します。このTOPとBOTTOMの範囲が賃金レンジです。作成した一覧表から棒グラフを作成するとより明確に把握することができます(左図参照)。

 賃金レンジは、①重複型、②格差型、③連続型の3タイプに分かれると言えます。

 ①重複型は、等級毎のレンジが相互に重なっており実際の賃金表でよくみられるタイプです。年功的になりやすい反面、一定のレベルまでは定期昇給できるので、たくさんの従業員のモチベーションを維持することが可能です。

 ②格差型は、等級間の間隔が広いため昇格すると賃金が一気に上昇します。昇格者のモチベーションを鼓舞することに有効です。ただし、等級間の間隔が広いということは、必然的に賃金レンジは短くなります。何年か定期昇給すると頭打ちになってしまい、昇格しない従業員のモチベーションを維持することが困難になります。

 ③連続型は、重複型と格差型の折衷案です。“いいとこどり”をしてはいますが、両者のデメリットを合わせ持っています。

 実在者のグラフに加えて制度上のグラフ(理論値)を作成すれば、運用上の課題だけでなく設計上の問題が把握できるかもしれません。いずれの賃金レンジも一長一短がありますので、自社の状況に応じて会社が選択することになるでしょう