ユーザーフレンドリーな駆け込み寺

Q.「駆け込み寺」が増えたそうですが、どのような所があるのですか?

A.「労働審判」や労働局の「あっせん」等があります。

 以前から紛争解決の手段として中心にあるのは裁判所であり、集団的労働紛争を扱う機関として労働委員会があります。昨今、集団的労働紛争(会社と労働組合の争い)は減少し、個別労働紛争が激増する中、紛争解決制度の再構築が求められていました。 そのような状況下で生まれたのが労働審判制度です。地方裁判所の労働審判は、原則3回以内、期間も3箇月程度で終了していますので、簡易でスピーディーな新しい紛争解決制度として機能しています。

 一方、都道府県労働局では紛争調整委員会によるあっせん手続制度が設けられたり、その下級機関である労働基準監督署では総合労働相談コーナーが設けられたりしました。あっせんは、原則1回で終了し費用もかからないため、利用者にとっては非常に簡便な制度となっています。

 また、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)が施行され、司法書士会や社労士会などの民間機関が紛争解決に当たっています。費用は実施する機関により多少異なりますが、裁判制度と比較すればはるかに低額なものになっていますので、利用者にとって選択の幅が広がり、利便性が向上したということができるでしょう。

 一昔前、従業員個人が会社と争うケースは、さほど多くはなかったかもしれません。しかし、従業員の権利意識は高まり、会社のコンプライアンスはシビアに見られています。常日頃から、個別労働紛争に備えなければならない時代になったといえるでしょう。