月80時間超の残業と会社の義務

Q.月80時間を超える残業になった場合、何をしなければならないのでしょうか?

A.まずは、産業医へ情報を提供しましょう。

 改正労働安全衛生法は、長時間労働を抑制するためにさまざまな規制を定めています。時間外・休日労働が1箇月当り80時間を超える場合には、会社の義務として次の3点に注意する必要があるでしょう。

 ①産業医に情報提供する義務

 ②従業員に通知する義務

 ③医師の面談を受けさせる義務

 会社は、産業医に情報を提供する義務を負っています。時間外・休日労働が1箇月当り80時間を超える場合には、その従業員の氏名と超過時間について、産業医に報告しなければなりません。該当者がいない場合であっても、「いない」という情報を提供する義務があります。なお、産業医の選任義務のない従業員50人未満の事業場は努力義務となっています。また、時間外・休日労働が1箇月当り80時間を超えた従業員に対し、労働時間の状況に関する情報を算定後、速やかに通知しなければなりません。これは、書面や電子メール等が想定されていますが、時間外・休日労働の時間数が記載された給与明細でも構いません。

 会社は、長時間労働となった従業員から申し出があった場合には、医師の面談を受けさせなければなりません。改正労働安全衛生法は、医師の面談を受ける対象者について基準を見直しています。時間外・休日労働が「1箇月当り100時間」から変更され、「1箇月当り80時間」を超えた場合に医師の面談が必要です。

 働き方改革関連法の施行により、さまざまな変更がなされていますが、労働安全衛生法の改正が盲点にならないように注意が必要でしょう。