雇い止めとは

Q.雇止めとは、どういうことを言うのでしょうか

A.有期労働契約を終了することですが、終了できない場合があります。

 労働契約は、「期間の定めのない契約」と「期間の定めのある契約」の2つに分かれます。「期間の定めのある契約」は、契約の終了時期が合意されているので、期間満了をもって当然に終了します。しかし、反復更新された労働契約について、会社が一方的に終了させる場合は“雇止め”と呼ばれ、会社の意志とは関係なく契約が更新されてしまうケースがあります。

 労働契約法第19条は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、“雇止め”をすることはできず、「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件」で、契約が更新されることを定めています。これは、更新の回数が多い場合(東芝柳町工場事件 最高裁 昭49.7.22)や従業員から見て更新が期待されていた場合(日立メディコ事件 最高裁昭61.12.4)などの判例が積み重なった結果として、条文化されたものです。

 このような場合、“雇止め”は会社にとって一定のリスクを伴うものになります。また、労働契約法では有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者からの申出により「期間の定めのない労働契約」へ転換することが定められています。これらのことを考えると、有期労働契約を反復更新していくメリットは限られているのかもしれません。

 そうであれば、期間の定めのない“限定正社員”として雇用することも一考です。“限定正社員”とは、「期間の定めのない労働契約」を結びながら、勤務地や職種等に限定性を持たせることで、賃金水準等について“今までの正社員”とは異なる労働条件を設定する雇用形態のことです。この“限定正社員”の活用により、会社は“雇止め”のリスクを避けることが可能となります