詳説 労働契約法 [第2版]

 「小さく生んで大きく育てる」

と、労働契約法の成立時に、この書籍の著者の1人である菅野先生は、おっしゃったそうです。

 労働契約法は施行時点で全19条、非常に小さな法律です。新しいことが書いてあるわけではなく、判例で既に固まっているものを、法律の形にしただけだと非難する人もいたようです。しかし、この法律も改正法が成立し、順調に育っているといえるのかもしれません。

 労働契約法は、就業規則の不利益変更、解雇、雇い止め、など人事担当者として熟知しておかなければならないものが盛りだくさんです。しかし、文章量は少なく条文を読んだだけでは、その背景にあるものを理解することはできないでしょう。ですので、何らかの解説書が必要になります。

 この書籍の巻末には、研究会の報告書や審議会の答申などが、参考資料として付属しており、法成立までの経緯を追うことも可能です。日本の労働法を代表する3人の研究者による書籍であり、クオリティに心配はありません。

 この機会に、労働契約法をマスターしたいと思われる人事担当者にお薦めしたいと思います。

著    者:荒木尚志、菅野和夫、山川隆一

出 版 社:弘文堂

発 売 日:2014年5月

カテゴリー:学術書(労働法)