役割等級制度とは

Q.役割等級制度が注目されているそうですが、どのような制度なのでしょうか?

A.役割等級制度は、企業によって千差万別であり、定義付けることが難しい状況です。誤解を恐れずにあえて説明すれば、“人基準”と“仕事基準”の間に役割基準を設けた制度と言えるかもしれません。

 大手企業を中心に、役割等級制度の導入が進んでいるようです。運用しやすいメリットが強調される人事制度ですが、その実態は企業により千差万別であり、定義付けることが難しい制度でもあります。おそらく共通しているのは、“役割”という基準を持っていることでしょう。

 この“役割基準”はファジーな表現のため、企業により千差万別になっているのだと思いますが、“人基準”と“仕事基準”の定義をミックスしたものから、求められる役割の基準を作成し、等級の序列感とフィットさせたものが、役割等級制度といえるのではないでしょうか。

 上図は、左に人(能力)基準、中央に役割基準、右に仕事(職務)基準を置き、人事制度の三大要素である、等級、評価、賃金との関係を表したものです。

 人(能力)基準から作成する代表的な等級制度が職能等級制度ですが、柔軟な運用ができる反面、年功的に運用され人件費の面で経営を圧迫することが問題になることがあります。一方、その対抗馬としてよく挙げられるのが、職務等級制度です。各職務を定義し序列化した“職務記述書”を作るのが一般的でしょうが、仕事と賃金がマッチする反面、仕事分担の融通性やポスト不足への対応が困難で、社員の“ヤル気”を向上させにくいと言われています。

 役割基準は、これらの“能力基準”と“職務基準”の持つメリットを享受した折衷案と言えるかもしれません。また、役割等級制度は、いいとこ取りをした結果、どのようにも運用することが可能な制度ですので、管理職の運用力が優れている企業に向いていると言うことができるかもしれません。