大卒就職の社会学 〜データからみる変化

 “シューカツ”、大変ですよね。

 新卒採用は人事担当者にとって大変な仕事ですが、学生さんからすれば、人生の大勝負。“勝ち組”にならなければいけない、と思っている学生さんも多いのではないでしょうか。

 65歳までの継続雇用が進む中、20歳代の就職は厳しさを増すばかりですが、いつ頃から就職活動は大変になったのでしょうか?また、どういった学生さんが大変なのでしょうか?それとも以前と変化していない部分もあるのでしょうか?この本は、そういった素朴な疑問に対して、様々なデータに基づき解説してくれます。

 学業に専念できる環境整備として、就職活動の解禁日を遅くすることが重要だと、学校や企業から提言されていますが、昨今、この就職協定のタイムスケジュールが変動しています。人事担当者であれば、こういった採用スケジュールで悩むことでしょう。この書籍の中では、就職活動のタイムスケジュールにスポットを当て、学校ブランド群別に分析しているところが面白く分かりやすくなっています。学校のブランド力が内定に関係があるかどうかの一端をうかがい知ることができます。

 採用活動を実施する側の人間として、アカデミックに“シューカツ”を考えたい人事担当者にお薦めしたいと思います。

著    者:苅谷 剛彦/本田 由紀 編

出 版 社:東京大学出版会

発 売 日:2010年3月

カテゴリー:学術書(教育社会学)