無期労働契約への転換

Q.改正労働契約法では、労働契約を1回でも更新すると正社員になるって、本当ですか?

A.ある意味においては正解です。ただし、正社員とは限りませんし、平成30年4月以降のことです。

 改正労働契約法第18条は、更新された労働契約が通算5年を超え、本人から申し出があった場合に、期間の定めのない労働契約に転換することを定めています。ケースによっては1回の更新で、この定めに該当する場合があり得ます。

 労働基準法による契約期間の最長は3年(原則)と定められていますが、仮に3年間の労働契約を締結している場合で、同内容の契約を更新すると、4年目から6年目までの期間を契約することになります。この場合、更新した期間が通算5年を超えますので、本人の申し出により“期間の定めのない労働契約”へ転換させることができるようになります。

 ここで問題になるのは、契約の成立時期です。有期雇用社員である本人の申し出は、最初の更新から2回目の更新の間になるでしょう。仮に、その申し出が最初の更新の直後(例えば、入社から3年1箇月後)だとすると、そのタイミングで“期間の定めのない労働契約”が成立し、会社は拒むことができません。もし、更新した契約期間(満6年)の満了で、雇用を終了するのであれば、既に成立している“期間の定めのない労働契約”も解約(解雇)しなければなりませんので、簡単なことではありません。

 要するに、3年間の労働契約の場合、一度でも更新をすれば結果的に、“期間の定めのない労働契約”に転換することになるのです。ただし、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約の内容で更新されますので、仮に時給制のパートタイマーであれば、“期間の定めのない”時給制のパートタイマーが誕生するのであって、いわゆる正社員に自動的になるわけではありません。