無期転換と能力開発
Q.契約社員が無期転換すると仕事の内容は変化するものでしょうか?
A.長期の能力開発が可能になり、生産性の高い仕事を担当するかもしれません。
労働契約法は、同一使用者との間で更新された労働契約が通算5年を超え、本人から申し出があった場合には、期間の定めのない労働契約に転換することを定めています。期間の定めがない点では、いわゆる正社員と同様の状態になりますので、一般的には定年まで働く長期の雇用関係に入ることを意味します。ただし、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約の内容で更新されますので、仮に時給制の契約社員であれば、“期間の定めのない”時給制の契約社員が誕生するのであって、正社員に自動的になるわけではありません。
有期雇用(期間の定めのある労働契約)は、1年間など短期の設定になるのが通常でしょう。正社員が長期雇用であるのに対して、非正規労働者は短期間の有期雇用契約を結ぶのが一般的です。一部の専門人材を除けば、非正規労働者が能力開発に時間のかかる生産性の高い仕事を担当することは困難でしょう。すると、正社員は非定型的で判断を伴う生産性の高い仕事を担当し、非正規労働者はそうではない定型的な仕事を担当することが多くなります。これは、そのまま賃金格差の問題につながっているとも考えられます。
短期雇用を前提とした非正規労働者が無期転換すれば長期の能力開発が可能になり、より高い生産性を発揮することが期待できます。会社は教育投資(研修など)をして、その成果を回収しようと考えるでしょう。生産性の向上に伴い賃金が上昇することは理にかなっています。非正規労働者の無期転換は、会社を成長させると伴に賃上げのカギになるのかもしれません。