労働基準法 14の労使協定

Q.労使協定には、どのようなものがあるのでしょうか?

A.まずは労働基準法に登場する14個の労使協定を把握する必要があるでしょう。

 労基法の条文を読んでいると、次のフレーズが14箇所、登場することに気がつきます。

 『労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定』

 これが労基法でいうところの労使協定であり、労働組合または労働者の代表と会社が取り交わす合意文書ということになります。本来、労使協定は法律で禁止された事項について、法違反とは取り扱わない「免罰効果」を与えるためのものです。そのため、コンプライアンスの観点から非常に重要であり、労働基準監督署の臨検の際には不備を指摘されやすい書類の1 つになります。

 労基法に登場する労使協定を条文番号順に並べると、下記の14個になります。該当する制度を採用している場合には、原則として事業場ごとに労使協定の備えつけが必要です。なお、労使協定は就業規則と同様に、労働者がいつでも閲覧できるような体制を取る必要があります(労基法106条第1項)。ただし、文書として配付することは義務付けられておらず、パソコン等で自由に閲覧ができれば問題ないでしょう。

【労働基準法に登場する14の労使協定】

第18条 第2項 貯蓄金の管理に関する労使協定
第24条 第1項ただし書 賃金控除に関する労使協定
第32条の2 第1項 一箇月単位の変形労働時間制に関する労使協定
第32条の3   フレックスタイム制に関する労使協定
第32条の4 第1項 一年単位の変形労働時間制に関する労使協定
第32条の5 第1項 一週間単位の非定形的変形労働時間制に関する労使協定
第34条 第2項ただし書 一斉休憩の適用除外に関する労使協定
第36条 第1項 時間外及び休日労働に関する労使協定(36協定)
第37条 第3項 月60時間超に係る割増賃金を代替休暇とする労使協定
第38条の2 第2項 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定
第38条の3 第1項 専門業務型 裁量労働制に関する労使協定
第39条 第4項 年次有給休暇の時間単位付与に関する労使協定
第39条 第6項 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
第39条 第9項ただし書 年次有給休暇の賃金を標準報酬日額とする労使協定