労働事件審理ノート[第3版]

 裁判官の引継書であり、労働裁判のバイブルとして弁護士に愛用されている書籍です。

 他の訴訟と比較して労働裁判を担当することは、裁判官であっても大変な苦労を伴うらしく、「労働事件で得た知識、ノウハウは、先任の裁判官から後任の裁判官に引き継がれることもなく、後任の裁判官は、先任の裁判官と同じ苦労を繰り返すのが常」だそうです。そのため、先輩裁判官が後輩への技能伝承のために書いた引継書とでも言うべき性格をもった書籍です。

 解雇など事件の類型ごとに、1.要件事実→ 2.典型的な争点→ 3.基本的な事実関係→ 4.基本的な書証→ 5.訴訟運営上のポイント→ 6.関連書式という流れで構成されており、裁判のことを詳しく知らない者にもわかりやすく記述されています。中でも、裁判の証拠として提出すべき必要な書類が列挙されていますので、“いざ”という時の準備には、とても参考になるでしょう。

 昨今、個別労働紛争が増加していますので、人事担当者のたしなみとして読んでおくのも良いのではないでしょうか。 

著    者:山口 幸雄、三代川 三千代、難波 孝一 編

出 版 社:判例タイムズ社

発 売 日:2016年12月

カテゴリー:実務書(労働法)