無期転換社員の就業規則

Q.労働契約法の改正により無期転換する契約社員には、正社員の就業規則が適用になるのでしょうか?

A.ケースバイケースですが、その可能性はあるので注意が必要です。

 労働契約法第18条は、無期転換した場合の労働契約の内容について、「現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(略)について別段の定めがある部分を除く。)とする」と定めており、“従前の労働条件”を前提としています。ただし、ここで出てくる「別段の定め」に“正社員の就業規則”が該当すると考えられるならば、無期転換した契約社員にも正社員の就業規則が適用されることになります。

 法改正による無期転換社員は新しい制度ですので一概には言えませんが、直ちに“正社員の就業規則”が「別段の定め」に該当するとは考えにくいと思われます。しかし、有期雇用社員の就業規則の適用対象者として“雇用期間の定めがある者”、反対に、正社員の就業規則に“雇用期間の定めがない者”という定義があった場合はどうなるでしょうか。

 正社員の就業規則を無期転換社員に適用しないのであれば、このような齟齬をうまないために、無期転換社員の適用除外を明示する必要があります。また、無期転換社員の独立した就業規則を設けることが紛争の予防に役立つことになるでしょう。