無期転換社員の就業規則

Q.無期転換した社員の就業規則は、どうなりますか?

A.適用範囲に気を遣う必要があります。

 多くの会社には就業規則が2つ以上あると思います。正社員と非正社員では、就労条件が異なるのが通常でしょうから、雇用区分に応じて2つ以上に分ける必要が出てきます。そのため、就業規則でもっとも重要なのは、適用範囲といっても良いでしょう。それぞれの雇用区分をきちんと定義し、いずれの就業規則が適用になるかを明確にしなければなりません。

 いわゆる正社員は、期間の定めのない労働契約を結ぶのに対して、非正社員は有期雇用契約であるのが通常でしょう。仮に、正社員の就業規則に、「この就業規則は、期間の定めのない社員に適用する」と書かれていれば、有期雇用契約から無期転換した社員にも適用されることになります。改正労働契約法の施行により、無期転換が法制化されるまでは、このような条文をよく見かけました。しかし、期間の定めの有無だけでは、雇用区分の定義ができなくなったわけです。

 無期転換社員に正社員の就業規則を適用しないのであれば、正社員の就業規則に無期転換社員の適用除外を明記し、新しい専用の就業規則を設けることがトラブルの予防になります。または、無期転換する前から適用されていた就業規則に、「この規則に定める労働条件は、(略)無期労働契約での雇用に転換した後も引き続き適用する(厚労省モデル)」と記述することで、適用範囲を明確にすることもできます。なお、有期雇用社員にはもともと定年の定めがありませんので、改めて無期転換後の定年について考える必要が出てきます