労使協定と労働協約の違い
A.労使協定は免罰効果を得るもの、労働協約は契約です。
労使協定は、法律に規定があるものについてその法的効果を発揮します。本来であれば違法なものであっても、該当する労使協定を締結・届出等することで適法なものとして扱われます。法律に罰則の規定があれば、罰せられない効果(免罰効果)を発揮します。反対に言えば、法律に定めがないものについて労使協定を締結しても、法的効果を発揮しないということです。
労働協約は、労働組合と合意した内容を文書にしたものですので、法律とは関係なく様々な約束をすることができます。つまり、労働組合と会社が交渉し労働条件を取り決めた契約書なのです。なお、労働組合が事業場の過半数の従業員を組織していれば、労働者代表として労使協定を結ぶことになるでしょう。この場合には、「労使協定=労働協約」になるので、2つの間に違いはないことになります。
賃金は、通貨で直接その全額について毎月1回以上、一定の期日に支払わなければなりません。これは、「賃金支払の5原則」と呼ばれます。賃金は、通貨で支払う必要があるので現物支給は許されません。しかし、労働基準法第24条第1項は、その例外として「労働協約に別段の定めがある場合」には、通貨以外のもので支払うことができると定めています。ここでは、従業員代表者を選出して締結する労使協定が想定されていません。労働協約は、労働組合と締結するものなので労働組合の存在しない会社では賃金の現物支給をすることはできないことになります。ここでも、労使協定と労働協約が異なる取り扱いをされています。