労使協定の署名と労働組合

Q.労働協約と労使協定の署名欄は同じ人で良いのでしょうか

A.労働組合が事業所毎に従業員の過半数を組織化していれば、いずれも労働組合の署名で問題ありません。

 労働協約と労使協定は様々な面で異なりますが、文書の署名欄にサインをする人については、その適用範囲という視点で捉えると分かりやすいと思います。

 ある企業にAとB、2つの労働組合がある場合、労働協約は締結した当事者に効力を発揮しますので、会社とA労働組合が締結した労働協約は、A労働組合の組合員には適用されますが、原則としてB労働組合の組合員には適用されません。一方、労使協定はその事業所の全ての従業員に適用されますので、従業員の過半数を代表するものが署名しなければなりません。

 労働組合が事業所毎(別々)に、従業員(有期雇用従業員を含む)の過半数を組合員として組織していれば、労働協約・労使協定いずれも労働組合が締結することに問題はないでしょう。しかし、事業所毎に従業員の過半数を組織していない労働組合は労使協定を締結することができませんので、従業員の過半数を代表する社員個人が署名することになります。労働組合の組織率が20%を下回る昨今では、パート従業員などが組合員として組織化されていないために、36協定(時間外・休日労働に関する協定)を締結することができず、団体交渉が難航するという例もありますので注意が必要です。