フレックスと長いコアタイム

Q,コアタイムだけのフレックスタイム制を採用することはできますか

A.コアタイムが長すぎることには問題があるでしょう。

 フレックスタイム制においてもっとも重要なことは、従業員自身に「始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねる」ことだといって良いでしょう。ここでは、在社する時間の長さが問題になります。フレックスタイム制では、コアタイム(必ず勤務する時間帯)を設定することができます。出社時刻と退社時刻を従業員自身が決定できる制度ですので、コアタイムを設けておかないと打合せをするのも大変です。例えば、コアタイムを10:00〜15:00位に設定しているケースをよく見かけます。

 一方、コアタイムを長く設定することで、9:00〜18:00勤務のような通常の労働時間管理をしながら、割増賃金を節約しようと考える会社があるかもしれません。仮に、休憩時間が1時間の会社でコアタイムを9:00〜18:00にすると、コアタイムだけで実働8時間になります。この場合は、コアタイム=1日の標準労働時間ということになるでしょう。これでは、始業・終業の時刻を従業員の自由意思に委ねているとは言えないと思われます。法律上の制約ではありませんが、少なくとも1時間位はフレキシブルタイム(出勤・退社の時間帯)として、従業員の自由意思で決定できないと、せっかくのフレックスタイム制の意味がなくなってしまうのではないでしょうか。

 ちなみに厚生労働省の通達では、「フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること(昭63.1.1基発1号)」とされています