労働判例百選 [第10版]

 判例に関する良書はたくさんあるでしょう。 ですが・・・。

 江戸に八百八町、大阪に八百八橋あろうとも、コレだけは読んでおかなくてはなりません。例えば、「秋北バス事件」や「第四銀行事件」から就業規則の不利益変更を学び、「東芝柳町工場事件」や「日立メディコ事件」から有期雇用社員の雇止めなどを勉強した人事担当者が数多くいるはずです。今となっては労働契約法に規定されたものですが、それまでは、判例を知らなければ手も足も出ない分野でした。他にも判例を知らなければ対処できない人事に関する多くの分野があります。前回、第9版が出たのが2016年11月です。約5年の間に重要判例が数多くありました。例えば、「ハマキョウレックス事件」がそうです。これらなくして、同一労働同一賃金を語ることはできません。

 最高裁の判例は確定判決なので別ですが、一つひとつの裁判例が判例と呼べるレベルに達したものかどうかは、なかなかに難しい問題です。この書籍であれば、専門家が吟味し判例として扱うことに問題がないという“お墨付き”が与えられているようなものです。労働判例百選に載っているというだけで、信頼性の証になります。 

 きちんとした人事担当者になるためには、労働法だけでなく判例に関する理解も必要です。重要判例について勉強を進めたい人事担当者の皆様へお薦めしたいと思います。

著    者:村中 孝史、荒木 尚志 編

出 版 社:有斐閣

発 売 日:2022年1月

カテゴリー:実務書(労働法)