労使協定の有効期間
A.有効期間が必要なものと、そうでないものがあります。
労使協定にもいろいろありますが、労働基準法に登場する14の労使協定のうち有効期間の定めをしなければならないものは下記の5つになります。ただし、労働協約として労使協定を締結する場合、労働協約は一定の要件で破棄が認められていますので有効期間を定めなくとも問題はありません。また、「一箇月単位の変形労働時間制に関する労使協定」は、もともと就業規則に定めることで導入できるため、労使協定を結ぶケースは少ないかもしれません。
労使協定は、そもそも労使で合意のうえ締結するものなので、有効期間をどのくらいの期間にするかも労使にまかされています。ただし、下記のように通達で目安が示されていますので参考にするべきでしょう。なお、「時間外及び休日労働に関する協定(36協定)」については、1年間で残業の限度時間を設定する必要があるので有効期間を1年とするのが通常です。労働基準監督署は、1年以外の有効期間を定めた36協定が提出された場合、その次に提出する36協定の有効期間を1年とするよう行政指導しているようです。
これらのことを勘案して労使で有効期間を決めれば良いわけですが、将来的な見直しのタイミングなど柔軟に対応していくためには、全ての労使協定について有効期間を設けるのも一つの考え方かもしれません。
【有効期間の定めが必要な5つの労使協定】
内容 | 有効期間 | |
① | 一箇月単位の変形労働時間制に関する労使協定 | 3年以内が望ましい(平11.3.31 基発169号) |
② | 一年単位の変形労働時間制に関する労使協定 | 1年程度が望ましい(平6.1.4 基発1号) |
③ | 時間外及び休日労働に関する労使協定(36協定) | 1年間が望ましい(平11.3.31 基発169号) |
④ | 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定 | 一定の期間(昭63.1.1基発1号) |
⑤ | 専門業務型 裁量労働制に関する労使協定 | 3年以内が望ましい(平15.10.22 基発1022001号) |