ベースアップの実施方法
Q.「ベースアップ」は、どのように実施したらよいのでしょうか?
A.定期昇給の実施後、定額と定率に分けて実施するのが一般的だと思われます。
賃金実務を担当する人事担当者でも、ベースアップを実施していない企業では、実務の経験が乏しくなっているかもしれません。ベースアップ(ベア)については誤解も多いようですので、基本を確認しておくことは大切でしょう。
春闘における昇給率(額)は、定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)を一体として、“定昇ベア込み”で決定されることが多いと思われます。定昇は、制度として運用されるものであり交渉の必要がないものですので、評価の結果等が集計されれば自動的に算出されます。その後、“定昇ベア込み”のトータル部分から定昇部分を除いた残りが、ベアの部分になります。一方、ベアとは、“ベース=賃金表”をアップさせることを言いますので、個人の賃金に直接反映させるものではありません。まずは、前年度の賃金表にベア率(額)を反映し、新年度の賃金表を作成してから、個人の賃金を変更することになります。
なお、ベアを実施する場合には、定率及び定額による配分が考えられますが、実際にはどちらか一方ではなく、定率と定額をミックスして配分する企業が多いのではないでしょうか。この場合、“定率”部分を厚く配分すると、高賃金ほど金額が大きく、低賃金ほど金額が小さくなります。一方、“定額”部分を厚く配分すると、高賃金ほど昇給率が低く、低賃金ほど昇給率が高くなります。一般的に、中高年者の賃金を是正したいときは“定率”部分を厚く、若年層を是正したいときは“定額”部分を厚く、配分することになります。どのようにベアを配分するかは、その会社の賃金の状態、または、政策により異なることになります。