ジョブ型雇用とは
A.「仕事に限定性のある」雇用といえるでしょう。
ジョブ型雇用は、メンバーシップ型雇用と対比させると分かりやすいでしょう。メンバーシップ型雇用とは、人事異動や転勤等があるいわゆる“日本の正社員”のスタイルです。言葉の生みの親である濱口桂一郎先生は、日本の「雇用契約の性格は、一種の地位設定契約あるいはメンバーシップ契約」と考えられるとして、”メンバーシップ型”と名付けたそうです。
ジョブ型雇用は、その反対ということになります。例えば、技術職という「職種限定」があり営業職には人事異動をしない人や、「勤務地限定」があり引越を伴う転勤のない人がジョブ型雇用といえるでしょう。ジョブ型雇用は、労働契約のまん中に仕事があります。仕事自体が重要な契約内容ですので、一方の都合で勝手に変更することはできません。そのため、会社が人事異動をしたいときは、必ず従業員本人の同意が必要になるでしょう。
メンバーシップ型雇用は、採用した後にその配属を考える新卒一括採用者がその典型です。反対に、特定の仕事があってその仕事をする人を採用するのがジョブ型雇用です。つまり、「人に仕事がつく」のがメンバーシップ型雇用、「ジョブに人がつく」のがジョブ型雇用と言うこともできるでしょう。
昨今、ジョブ型雇用について「新しい成果主義」のようなフレコミで営業活動する人事コンサルタントが存在するようです。ジョブ型雇用は、産業革命以来の硬直的な古いタイプの雇用システムですので、人事制度を変更する際には歴史的な経緯やその本質を確認した方が良いでしょう。