雇用再生 〜持続可能な働き方を考える

 労働経済でここまでわかりやすいのは、珍しいと思います。

 著者は高名な労働経済学者であり、この書籍は当然に労働経済学をベースに書かれています。でも、私たちが使っている普通の日本語を用いて、どうしてこんなに簡単になめらかに説明することができるのか不思議です。例えば、雇用の流動性や解雇規制について、この書籍の104ページには次の記述があります。

 「わざわざ解雇制限の緩和などをしなくても、衰退産業や衰退企業に見切りをつける人は当然のことながら、粛々と転職しているのである。流動性が低いのは解雇規制が厳しいからではなく、行く先によりよい労働条件の企業がないからというほうがむしろ正しいと考えるべきだろう。」

 言われてみればその通りです。ですが、有識者と言われる人たちがテレビに出演して、日本の問題は雇用の流動性が低いことであり、解雇規制が厳しいことにある、と私たちはよく聞かされています。日本の雇用問題は何なのか、この書籍を通じて問題の本質に気づかされるかもしれません。

 何か、スッキリする本なのです。人事担当者であれば、外せない一冊になるかもしれません

著    者:清家 篤

出 版 社:NHK出版

発 売 日:2013年11月

カテゴリー:新書と学術書の中間(労働経済)