就業規則の意見聴取の程度

Q.反対を表明した意見書でも就業規則変更届は受理されますか

A.意見を聴くことが必要であり、効力に影響はありません

 会社が就業規則を作成・変更する場合には、事業場の過半数を代表する労働組合や従業員代表者の意見書を提出する必要があります。ここで求められているのは、あくまでも「意見を聴くこと」であって、「同意の取得」まで求められているわけではありません。例えば、労働組合や従業員代表者が就業規則の改定に反対なのであれば、反対意見を記述した意見書を就業規則変更届に添付して労働基準監督署へ届け出れば受理されます。この点につき、厚生労働省の通達は、「就業規則に添付した意見書の内容が当該規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、又その反対事由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない(昭24.3.28基発373号)」としています。

 なお、労働組合や従業員代表者が意見書を提出しないことがあるかもしれません。その場合には、意見を聴いたことが分かる書類(依頼状やメールの控え等)を添付すれば、労働基準監督署は就業規則の届け出を受理することになっています。この点につき、厚生労働省の通達は、「労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名又は記名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱われたい(昭23.5.11基発735号)」としています。

 以上のように手続きに関しては問題ありませんが、反対意見がありながら就業規則を変更することは、望ましいことではないでしょう。やはり、時間をかけて丁寧に説明をすることが王道だと思われます。