参考にすべき賃上げデータ
A.「賃金引上げ等の実態に関する調査」はいかがでしょう。
毎年、春を迎えると賃上げのニュースが盛んになります。しかし、メディアの情報は世の中全体の状況を現しているわけではありません。一部の企業に限られた情報ですので、惑わされてはいけない部分があります。
定期昇給やベース・アップの世間動向を調べる場合、情報は限られます。まずは厚生労働省のデータから確認するのが良いでしょう。厚生労働省では、7月頃に「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」、10月頃に「賃金引上げ等の実態に関する調査」を公表しています。これらの調査には、それぞれ特色があります。前者は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業(約400社)について集計したもの、後者は、常用労働者100人以上を雇用する企業(約2,000社)について集計したものです。いわば大企業と中小企業以上の違いがありますので、前者の数値が高く出るのはもっともなことです。この他には経団連や連合の集計結果も公表されますが、どちらも特定の団体のものであり、データが偏らないようにサンプル抽出されているわけではありません。世の中全体を平均した結果であるような錯覚に陥らないよう注意が必要でしょう。
「賃金引上げ等の実態に関する調査」では、「賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素」についても調べています。これによると、「企業の業績」が最も重視されていることがわかります。当たり前ですが、企業によって業績は異なるので、世間相場は“あくまでも参考”として捉えることが重要かもしれません。