定期昇給の賃金統計

Q.定昇、ベアに関する統計には、どのようなものがありますか?

A.状況により異なるでしょうが、「賃金引上げ等の実態に関する調査」が使いやすいかもしれません。

 定期昇給やベース・アップの世間動向を調べたい場合、たくさんの調査や統計がありますが、まずは厚生労働省のデータから確認してはいかがでしょうか。

 厚生労働省では、7月頃に「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」、11月頃に「賃金引上げ等の実態に関する調査」を公表しています。これらの調査には、それぞれ特色があります。前者は、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業(約300社)について集計したもの、後者は、常用労働者100人以上を雇用する企業(約2,000社)について集計したものです。端的にいうと大企業と中小企業以上という違いがありますので、前者の数値が高く出るのはもっともなことでしょう。

 この他には経団連や連合の集計結果もあります。ただし、どちらも特定の団体のものであり、データが偏らないようにサンプル抽出されているわけではありませんので、世の中全体を平均した結果であるような錯覚に陥らないよう注意が必要でしょう。

 このように、定期昇給やベース・アップの調査には、特色がありますので自社に適したものを選択する必要があります。なお、「賃金引上げ等の実態に関する調査」では、「賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素」についても調べています。これによると、「企業の業績」が最も重視されていますので、世間相場は“あくまでも参考”として捉えることが重要かもしれません