諸手当に関する賃金統計

Q.家族手当に関する統計調査には、どのようなものがありますか?

A.①厚労省、②人事院、③中労委、④東京都の4つが代表的なものといえるでしょう。

 家族手当など諸手当に関する統計調査には、いろいろなものがありますが、次の4つが代表的なものといえるでしょう。ただし、それぞれに特徴がありますので、調査対象や実施時期などに注意して用いる必要があります。

 ①厚生労働省      :「就労条件総合調査」

 ②人事院     :「職種別民間給与実態調査」

 ③中央労働委員会  :「賃金事情等総合調査」

 ④東京都   :「中小企業の賃金・退職金事情」

 まず、①厚労省調査は、従業員30人以上の事業所を対象としており、サンプル数も多く信頼性の高い調査ですが、諸手当については数年に1度の頻度でしか実施されていないのが玉に瑕です。

 次に、②人事院調査の対象は、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上ですので、中小企業というよりは大手に近い状態の企業とみてよいでしょう。家族手当について全国規模で毎年実施している調査では、この調査が代表格といえます。

 そして、③中労委調査は、資本金5億円以上や従業員1,000人以上の大手企業を対象としています。通常の統計調査では、調査対象が偏らないようサンプルを抽出して実施されますが、この調査は特定の会社を有意抽出して実施されていますのでやや特殊な調査といえるでしょう。

 最後に、④東京都調査は、従業員10〜300人未満の中小企業を対象としており、東京都のデータを確認するのであれば、毎年実施されていることもあり使いやすいでしょう。

 また、各統計調査では、諸手当の水準に関するデータも載っています。しかし、諸手当は賃金を構成する一部に過ぎませんので、その水準については月例給与の合計で比較しないとよくわかりません。そのため、諸手当の水準については、あくまでも参考として捉えることが重要でしょう