割増賃金の算定基礎額
Q.残業代を計算する時、その基礎となる賃金に家族手当や資格手当は含まれますか?
A.家族手当を除外することはできますが、資格手当は算定基礎額に算入しなければなりません。
労働基準法では、時間外労働などに関する割増賃金を計算する場合、その母数となる算定基礎額から除外できる賃金項目が定められています(労基法37条5項、労規則21条)。具体的には、次の通りであり頭文字を取って「カ・ツ・ベ・シ・リ・イチ」の法則と呼ばれています。1999年の法改正により住宅手当も除外できる賃金項目に加わりましたので、ゴロ合わせが多少覚えにくくなってしまいました。
【割増賃金の基礎に算入しない賃金】
① | カ- | 家族手当 |
② | ツ- | 通勤手当 |
③ | ベ- | 別居手当 |
④ | シ- | 子女教育手当 |
⑤ | リ- | 臨時に支払われた賃金 |
⑥ | イチ- | 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金 |
⑦ | - | 住宅手当 |
上記は、限定列挙であり例示されているものではありませんので、ここにない手当等については、当然に算定基礎額に含まれることになります。結果として、資格手当はこの列挙された中にありませんので、算定基礎額に加える必要があるのです。ただし、これは名称の問題ではなく実態で判断されることになります。例えば、家族手当という名称であっても、扶養家族の人数などに関係なく一律に支給されるものは、家族手当としては扱われません。なお、定期昇給やベースアップは直接的に残業単価を上昇させることになりますが、これらの手当を増額しても残業単価は上昇しないことになります。