労働基準監督署の臨検とは?

Q.労働基準監督署の臨検は、どのように実施されるのでしょうか?

A.臨検には、定期監督、申告監督および再監督の概ね3つの類型があります

 労働基準監督署の臨検は、原則として予告なしに実施されるものです。そして、労基法が事業場を適用単位としていることからも分かる通り、労働基準監督官は営業所や工場などの事業場に突然現れることになります。監督官には臨検を実施する権限が与えられていますので、断ることはできません。なお、監督官は事業主を訪ねてきますので、事業場の長またはその他の責任者が対応する必要があるでしょう。また、監督行政の効率化を図るため、集団指導として労基署に出頭要請があり、複数の事業場が一度に調査されるケースもあります。

 臨検には、①定期監督、②申告監督及び③再監督の概ね3つの類型があります。3つめの再監督は、定期監督や申告監督で是正勧告した違反が是正されたかどうかを確認するために行われるものです。

 ①定期監督とは、毎年策定される各都道府県「労働局行政運営方針」に基づいた監督計画にしたがい、事業場に対して行われる立入調査のことです。年度毎に重点テーマが異なりますが、やはり労働時間や賃金などが重要視されているようです。また、一般の定期監督とは異なるものの、労働災害が発生した事業場に対して行われる災害時監督も統計上は、定期監督に含まれます。

 ②申告監督とは、その名の通り労働者の申告により実施されるものです。労基法104条では、事業場に労基法に違反する事実がある場合には、労働者の権利として労基署や監督官に申告できることになっています。事業場に臨検が実施される場合、定期監督と申告監督のどちらなのか会社には分かりません。申告者が名前を伏せるよう依頼している場合には、監督官はどちらの臨検なのかを教えてくれないでしょうが、まずは聞いてみてもよいと思います。一方、厚生労働省が公表する「労働基準監督年報」によると、申告監督は2割前後であり定期監督と比較するとそれほど多くはないことがわかります。しかし、安心してはいけません。申告監督の場合には、悪質な違反である可能性が高いことから、労基署は優先して臨検対象とする姿勢を持っているからです。

 いずれにしても臨検で慌てることがないよう、日々の業務を整えておく必要があるでしょう