労働基準監督署への対応と職場改善

 来てほしくないもの、でしょう。

 労働基準法の番人とされる労働基準監督官は、ある日突然やって来ます。それは、労働基準監督署が実施する臨検のことです。臨検が実施された事業場では、是正勧告書が発せられているケースが多くあります。そして、会社が是正勧告書を受け取ると、法違反状態を是正し指定された期日までにその報告書を提出しなければなりません。ただでさえ通常の業務で忙しい人事担当者にとっては、できれば避けて通りたいと思うところでしょう。そのような時の対処法が書かれた書籍です。是正勧告書のサンプルやその解説が少ないのは残念ですが、著者は元労働基準監督官であり、長年、臨検を実施してきた立場から、臨検や労働基準法などについて丁寧に解説してくれます。

 また、この書籍に中には、「コーヒー・ブレイク」というコラムが16箇所登場します。過去にあった出来事を記述しているのですが、労働基準監督官としての感想が記されており、現場の雰囲気が伝わってきます。その中で、労働基準監督官として初めて臨検を実施した時の記述があります。「緊張して見れども見えずという状態で、社長さんの話を聞くのが精一杯」だったそうです。労働基準監督官も人間だな〜、と親近感がわくでしょう。

 労働基準監督署への対策本で1冊購入したいとき、迷ったらこの書籍はいかがでしょうか

著    者:角森 洋子

出 版 社:労働調査会

発 売 日:2010年7月

カテゴリー:実務書(労働行政)