「雇止めルール」のすべて

 2018年問題への対応はお済みですか?

 2018年問題とは、2013年4月に施行された改正労働契約法が5年を経過し、有期雇用従業員が無期転換権を行使できることを指しています。つまり、反復更新された労働契約が5年を超えた場合には、契約社員が正社員に近い存在になることを意味します。仮に、それを回避したい会社は、5年を経過する前に「雇止め」を実施するでしょう。その「雇止め」は有効になるのでしょうか?そもそも「雇止め」はどのような場合に、有効とされるのでしょうか。著者は、「雇止め」に関する基本について解説し、このような疑問に答えてくれます。

 また、この書籍では7つの要素から「雇止め」の効力をスコア化し、その有効性を検証する試みが為されています。次の事例であれば、「合計3点で、雇止めは無効になる」ことが予想されます。これら7つの要素から100件以上の裁判例について検証したコメントが載っているのです。自社の「雇止め」が有効とされる可能性が高いか否かの予想に役立つでしょう。

①永続性のある業務を担当している                   ±0点

②更新回数3回以上または通算雇用期間が3年超             +1点

③正社員とは、職務の点でも、権限・責任の点でも異なる          -1点

④毎回、契約書を作成しているが、面談や成績の検証はしていない     ±0点

⑤特段の事情がない限り更新するのを原則としている             +2点

⑥上司による更新を期待させる言動があった               +1点

⑦本件雇止め以前に、雇止めの実績がいくつかある            ±0点

 「雇止め」の問題で頭を悩ませている人事担当者はたくさんいるでしょう。2018年問題への対応も含め、「期間の定めのある労働契約」について、今後の方向性を見定める重要な参考書といえそうです

著    者:渡邊 岳

出 版 社:日本法令

発 売 日:2012年12月

カテゴリー:実務書(労働法)