年俸制とは

Q.素朴な疑問です。年俸制とは何なのでしょうか?

A.月給制と同じく賃金形態の一つです。それに尽きるでしょう

 年俸制は、日給制や月給制と並び賃金形態の一つであり、労使で自由に決めることができます。ただし、労働基準法24条では毎月1回以上の賃金支払が定められています。そのため年俸制の場合には、1年を単位とした金額であっても、それを12分の1や16分の1として月ごとに支給されるのが通常です。要するに、年俸制であっても月給として支払う必要があります。年俸制は、1年を単位に賃金を決定するのでわかりやすさが増すのかもしれません。しかし、年俸制と月給制はどちらも計算期間の問題であり、決め方の問題とは異なると考えるべきでしょう。重視すべきは賃金の決め方であり、それは評価制度で実現するものではないでしょうか。

 一般的に年俸制のメリットは、働く時間(量)に応じて賃金が決まるものではなく、働いた成果(質)によって決まるものだと言われます。これは、能力主義の考え方にフィットするということでしょう。しかし、管理監督者でなければ時間外労働に関する割増賃金が発生しますので、原則として働く時間を無視した賃金の決定は困難です。たとえ固定残業代としても、実際の労働時間と毎月清算する必要がありますので、手間が増えるだけとも考えられます。

 また、年俸制は自由に賃金を上げ下げできるという誤解があるようです。従業員から合意を得ず会社が一方的に年俸額を引き下げた場合には、評価等の合理性がシビアに問われ裁判で会社が敗訴する可能性もあり得ますので注意が必要です。