定期昇給と賃金プロットの近似線

Q.賃金表のない会社では、定期昇給額をどのように決めたらよいですか?

A.賃金プロットの近似線から昇給額をみる方法があります。

 賃金制度を検討する場合に、従業員の賃金プロット図(散布図)を作成することがよくあります。例えば、グラフの縦軸に基本給、横軸に年齢を置き、従業員の基本給と年齢の交点に印を付けます。この作業を全従業員について1人ずつ実施すると、賃金プロット図の完成です。実際には、エクセル(表計算ソフト)が作図してくれますので、基本給と年齢の一覧表があれば、簡単に作成することができます。賃金プロット図を眺めれば、全社員の賃金分布が一目瞭然です。

 また、エクセルには近似線を作成する機能が付属しています。近似線とは、作成した賃金プロット図の傾向を分析し、その傾向に最も近い1本の直線を引くものです。これもエクセルが作図してくれますので、瞬時に完成します。この1本の直線は、例えば「Y = 5,000X + 100,000 」のような数式で表現することが可能です。中学校の数学で習ったような気がしますね。ここでは、「5,000」が直線の勾配を現しています。つまり、X(年齢)が1歳上がると、Y(基本給)は5,000円上昇するという意味です。この傾向から今まで実施してきた定期昇給は、だいたい5,000円だとみなすこともできるでしょう。仮に、今後の定期昇給額を5,000円と設定すれば、人件費の傾向は大きく変化しないことになります。

 この方法は、ある時点の状態を切り出したものであり、過去の経緯を網羅したものとはいえませんが、定期昇給額の目安として用いることは可能だと思います。